SSブログ

道端の花壇 [巷の雑感]


自家用自動車が贅沢品だったのは、遠い昔。今では、一部の都会を除いて、生活必需品になってしまった。私の住んでいるのは地方都市だが、人口は大して増えていないのに、車の数は増えているようだ。で、年々道路の渋滞がひどくなり、新しい道を作ったり、道路の拡張が行われている。
一年ほど前ウチの近所で、農道を拡張するかたちで、新しい道路ができた。私もよく通る道なのだが、ふと見ると、街路樹の根元に綺麗な草花が植えられている。それがいつ通っても、綺麗な花を咲かせている。きっと市か、どこかの組合か、自治会が植えているのかな、と思っていた。それにしても、こんなに何時も咲いているのは、毎月のように植え替えているのだろうか、と疑問に思っていた。
この間、その植え替えの光景を見てしまった。麦藁帽子をかぶった一人の年配の女性が、花を満載したパレットを持って、一人で植え替えている。声をかけて聞いてみると、この近くに住んでいる方らしい。休耕田を利用して、趣味で花々を育てているのだが、それを毎月ここに植え替えているのだそうだ。「だって、道路もキレイになったことだし、綺麗な花が植えてあったら、いいかなと思って。ウチの畑に咲かせておくより、こっちの方がみんなが見てくれるし、花も喜ぶんじゃないかな」と、日焼けした素敵な笑顔で語ってくれた。
市や公的機関がこんなことをすると、税金の無駄遣いだ、とか、そんな予算があるのなら、もっと料金を安くしろ、とかの話になるかもしれない。けど、一個人のボランティアなら誰も文句は言うまい。逆に言えば、このような事は、ボランティアや善意に頼らなければできないことになってしまったのだ。それくらい、今の地方都市の財政は厳しい。
趣味で育てた花を移植することで、多くの人の心の足しになっている。振り返って見ると、趣味で写真を撮っている我々は、何か公共のためになっているだろうか。趣味といっても様々、ちょっと考えてしまった。それにしても、こんな小さな街路樹の根元の花壇を、犬の糞だらけにして、この善意に応えている人たちは、一体どんな神経を持っているのだろうか!
 


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 0

コメント 0

コメントの受付は締め切りました