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少年サッカーの撮影 その75 [少年サッカーの撮影]

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昨年、県サッカー協会のカメラマンとして撮影していた時のこと。ハーフタイムにメディア交換のため、控室に戻ってきた私に、協会スタッフの方が話しかけてきた。

スタッフ「いや~、A高校のフォワードの子。凄いねえ。一年生だってね」
私「そうなんですか。ポストプレーもキッチリこなしているし、何といっても縦への突破力もありますね」
スタッフ「それに対してBチームの方は、ちょっと苦しいね。左サイドの突破だけではねえ」
私「ええ。ボールを奪った後に、ボランチの押し上げが足らないようで、攻撃にバリエーションが少ない」
スタッフ「そうそう。前半はディフェンスが頑張って無失点だったけど、失点は時間の問題かなあ」
私「そうですね。でも逆にA高校の方が先に失点すると、がぜん面白い試合になりそうですけど」

カメラのCFカードを入れ替えながらそんな会話を数分して、私は再度ピッチサイドに出ていった。
今回話題にしたいのは、撮影していると試合が見れない、楽しめないのか、ということです。
以前、サッカー撮影するのなら、撮影に集中すべきだ、と書いた。応援しながら、観戦しながら、そして撮影しながら、では、どれも中途半端になってしまい、良い結果に結びつかない事が多いので、撮影結果の良さを望むなら、撮影に集中すべきだ、と書いたことがある。では撮影に集中すると、試合展開や内容がまったく分からないのか、と言えば、決してそうではない、と言いたい。

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確かに、声援を送ることはできないかもしれない。試合中に常にグランド全体を見ながらフォーメーションの確認はできないかもしれない。監督やコーチ、解説者のように、ボール保持者以外の選手の動きをつぶさに観察することはできないかもしれない。しかし、サッカー撮影ではボールを持った選手を追い、その動きを予測しながらレンズを振り、良いシーン・決定的なシーンを求めてファインダーを覗いているのである。望遠レンズを使うので、すごく狭い範囲しか見ていないようだが、実は狭い画角だからこそ、撮影ポイントを的確に押さえるために、グランドを広い眼で見る必要がある。狭い画角のレンズだから、選手や試合展開を先読みする必要があり、その為にグランドで繰り広げられる動きに合わせて、撮影場所を移動したり工夫する必要もある。誰がどのように得点したか、どの子が出てどのようなプレーをしたか、それが分からないということは決してないし、逆にそれが分からないようなら、良い撮影結果は絶対に得られない。
それに加え、裸眼では見えない、その瞬間の選手の表情や、仔細なプレーの様子を、望遠レンズで見ている撮影者だけに分かる場合も有る。限界ギリギリのプレーなのか、まだ体力的に余裕があるのか、プレー中の表情や体の動きの速さで感じ取れる場合もあるし、今のファールが本当に悪質なものだったのか、スタンドからでは分かりにくい時も、カメラマンには見えていたりすることもある。実は最初に書いたような会話は、プロの撮影現場ではカメラマン同士で頻繁に交わされている類のもので、特に珍しいものではない。カメラマンも実は、良い写真を撮るために、試合をしっかり見ているものである。

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ただ、いきなり出来ることではないかもしれない。自分の機材の対する知識、どういう設定をしてどう撮れば、どういう画が得られるという知識があり、それに加えて多くの試合を撮ってきた経験が必要だと思う。それらが、いざ現場、という状況での余裕を生み、試合中に集中すべき処とそうでない処を生む。逆にそれが無ければ、先に言った「二兎を追う者は一兎をも得ず」の結果になってしまう。
試合時間の間、ずっとファインダーを覗いていることはない。私の場合測ったことは無いが、試合時間に対してファインダーを覗いている時間は、十分の一も無いだろう。それ以外の時間は主に何をしているかと言えば、試合を見ているのである。試合を見て、シャッターチャンスを探しているのである。中途半端に撮影することは、良い撮影結果を得られないが、慣れればきっと、試合を楽しみながら撮影することはできると思う。声を出して、手を振って応援することはできないかもしれないが。

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1枚目
CANON 7D+EF400mm F2.8 L IS
焦点距離 400mm シャッター速度優先AE シャッター速度 1/800 絞り F3.5 評価測光
露出補正 +-0  ISO 1250  AI SERVO AF  RAW
2枚目
CANON 1D MarkⅢ+EF300mm F2.8 L IS
焦点距離 300mm シャッター速度優先AE シャッター速度 1/800 絞り F5.0 評価測光
露出補正 +2/3  ISO 100  AI SERVO AF  RAW
3枚目
CANON 1D MarkⅢ+EF400mm F2.8 L IS
焦点距離 400mm シャッター速度優先AE シャッター速度 1/1000 絞り F5.0 評価測光
露出補正 +1/3  ISO 125  AI SERVO AF  RAW
4枚目
CANON 7D+EF300mm F2.8 L IS
焦点距離 300mm シャッター速度優先AE シャッター速度 1/1000 絞り F5.0 評価測光
露出補正 +-0  ISO 100  AI SERVO AF  RAW
5枚目
CANON 7D+EF300mm F2.8 L IS
焦点距離 300mm シャッター速度優先AE シャッター速度 1/800 絞り F4.5 評価測光
露出補正 +1/3  ISO 200  AI SERVO AF  RAW
6枚目
CANON 1D MarkⅢ+EF300mm F2.8 L IS+EF1.4xEXTENDERⅡ
焦点距離 420mm シャッター速度優先AE シャッター速度 1/1000 絞り F4.5 評価測光
露出補正 +1/3  ISO 100  AI SERVO AF  RAW

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kuni8686

自分の愚息のチーム撮りの時は、子供のプレースタイルを把握できているので、その瞬間が撮りやすいのですが、愚息と関係のない試合撮りでも、10分~15分撮っている(見ている)うちに、だいたいわかってきますね。球出しはこの子からだ、とか、この子はドリブラーだとか、この子はボールを跳ね返す専門だとか・・。攻撃パターンや守備の連携がわかってくると、次のパスの出どころがわかるので、待ちかまえて撮れたりします。そんな場面をつなぎ合わせていくと、そのチームのタイプやパターンがわかってきますね。
by kuni8686 (2010-02-13 18:00) 

副将

すごい瞬間の写真ですね。ピッチから写真を撮れるのは羨ましい限りです。自分の子供の写真だけを狙っているとゲームの展開って分からないんですけどボールを追っているとわかりますね。それに慣れると次にレンズを向ける方向なども見えてきます。そのうちに相手の選手のほうが良い画になるようなシャッターチャンスが増えてくると凄く複雑な気持ちになってきます。
by 副将 (2010-02-14 18:52) 

ジュニアユース

コメントありがとうございます。

kuni8686さん、こんにちは。
まったく初めて見るチームを撮る場合は、やっぱり慣れるのにちょっと時間がほしいところですよね。でもまあ、最近はそんな状況も慣れてきましたが。ただ小学生の試合の場合、試合時間が短いので、最初から集中していかないと、撮り損ねる場合が多いですよね。

副将さん、こんにちは。
自分の子だけを狙っていると難しいかもしれませんが、先読みが大切なサッカー撮影ですから、ボールを追って、試合展開を感じながら撮ることが大切ですよね。相手選手の方が画になるプレーをしてくれると、ウチも頑張れ、って心の中で叫んでしまったりします。

by ジュニアユース (2010-02-14 22:27) 

ZAO

今回の内容は、よく理解出来ます。
自分も望遠で撮っているので、見える範囲が、極端に狭いです。
試合をほとんどの時間、ファインダーから見ているので、全体の流れが掴めません。
これは、望遠で撮っている人の宿命です。
ほとんど裸眼で見て、たまにファインダーを覗いては、いいのが撮れません。
望遠で撮っているからこそ、わかる話しです。
by ZAO (2010-02-15 21:30) 

ジュニアユース

ZAOさん、こんにちは。
狭い画角で、広いグランドを縦横に動くボールや選手を追うのは苦労しますし、動きの先読みが必要ですから、なおさらですね。でも、試合時間の大半を裸眼で眺めて、シャッターチャンスを探しているのが私のスタイルです。慣れると、それで結構満足いく画が撮れますよ。

by ジュニアユース (2010-02-16 22:59) 

ZAO

裸眼で見ていて、たまにファインダーを覗くのは、無理です。
自分の場合、全選手・両監督・客席と、立体的に撮りたいので、ファインダー越しがほとんどになります。
もちろん、ただ立っている選手やただ走っている選手は、撮りません。
でも、撮らなくても、サーボで追っかけますけど。
慣れの問題でなく、素材の選び方の問題でしょう。
ただ単に、ボールのからみだけ撮ると、段々とつまらなくなって来たので、個々の表情を撮りたいので。
by ZAO (2010-02-17 18:21) 

ジュニアユース

ZAOさん、こんにちは。
まあ、人それぞれいろんな撮り方は有ると思います。ここは私のブログなので、私の撮り方を紹介しましたが、ZAOさんはご自分の撮り方を確立されているのだと思いました。お互い、満足を得られる画を狙って頑張りましょう。
by ジュニアユース (2010-02-18 21:28) 

ZAO

気を悪くされたら、申し訳ありません。
by ZAO (2010-02-18 22:15) 

ジュニアユース

ZAOさん、
>気を悪くされたら、申し訳ありません
そんなことないですよ。しっかり目的を持って撮られている方には、ご自身のスタイルというものがあると思うのです。そしてそれは、必ずしも一つとは限りません。私も今の撮影スタイルがベストだと思っているわけではなく、これからもより良い結果を求めて試行錯誤して、変わっていくかもしれません。その際はまた、このブログでいろいろ書いていきますので、よろしければ今後ともお付き合いください。


by ジュニアユース (2010-02-18 23:39)