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EF100-400は本当にダメか? その4 [カメラ]

下の作例
1D3+EF100-400mm F4.5-5.6 L IS   焦点距離   400mm  絞り優先AE
F6.3   SS 1/640   ISO 160   評価測光   露出補正 +1/3   AI SERVO AF  RAW

EF100-400 4-1.jpg

EF100-400について、私見を書いてきたが、今回で一区切りとしたい。
まず、前回の記事に付け加えさせていただくと、このEF100-400と、EF70-200+2倍テレコンを比較して悩む方がいる。両者がほぼ同等の性能なら、EF100-400の存在価値は無いに等しいと思われるが、そうではない。主に動体を撮られるならば、AF速度&画質共に、前者(EF100-400)の方が上だと思う。テレコンは常用すべきではないと思っているし、300mm以上の使用頻度が多いなら、このレンズの選択は、現在でも、間違いではない。ただ、300mmを超えるズームレンズを使うには、200mmのズームとは違う難しさがある、ということを書いてきたつもりだ。
さて、私が感じるこのレンズの難しさの理由、その第二が、このEF100-400のISだ。このレンズのISは初期型のもので、約二段分の補正らしいが、数年前に誤動作が話題になったことがある。強い光源を入れるとフリーズするというもので、私も一度経験している。メーカーのキヤノンからは、特にリコールなどのアナウンスは無かったし、電源抜き差しで復旧するのだが、私の場合は保証期間中だったこともあり、メーカーに送って見てもらったことがある。結果は、ISユニット交換。某掲示板などでも一時話題になり、その後発売されたものは対策済らしい。その後、私のレンズは同様の症状を起こしたことが無いので、この件は解決済だとは思う。
ただ、どうもこのレンズに関しては、ISをOFFにした方が撮影結果が良いように思えることが多い。ISを作動させると、どうもAF速度・レスポンスの点で落ちるような気がして、前述した「何となくピントが合っている」という写真が多くなって、シャープな解像感の写真が少ないような気がするのだ。同時期に発売されたレンズのIS(現行サンニッパやヨンニッパ)と基本的には同じISのはずだが、そうした単焦点レンズではコレは感じない。理由ははっきり分からない。ズームレンズ、しかも直進式という点との組み合わせが難しいのであろうか。ISの誤作動とまではいかず、あくまで私の感じにすぎず、それ故誰にでも勧めるわけにはいかないのだが、もし常にISを作動させて撮っている方で、撮影結果がイマイチ満足できない場合、ISをOFFにして(手ぶれ対策にSSを上げるとか、一脚を使うとかの対策は必要)撮ってみてはどうだろうか(改善する確証は無いのだが)。そんな訳で私は、このレンズでサッカーを撮る際は、ISはOFFにすることにしている(もっとも、一脚を使うので必要ないが)。
最後に付け加えたいのは、このレンズのコンディションの維持だ。撮影者側の原因ではなく、レンズ(+ボディ)との調整不足によるピントのズレは、どのレンズで起こりえるものだが、直進式ズームを採用するこのレンズ、ズーミングで全長が大きく変わることのせいなのか、メーカーでキッチリ調整してもらっても、それをずっと維持するのは難しいような気がしている。もちろん、使用頻度によっても違うだろうし、撮影環境に左右されるだろうし、あくまで私の感じに過ぎないのだが。
さて、このレンズのアラを書いてきたようにも思えるが、しかしこのレンズのジャスピンの画は、やっぱり一般の普及型ズームレンズとは明らかに違う、さすがLレンズと言えるものだと思う。コッテリとした色乗りの中にもしっかり解像した画は、なかなかのものだ。ただ、数あるLレンズ群の中でも、最も暗い開放F値のレンズの一つゆえ、AFセンサーに届く光量が乏しく、それゆえ測距には厳しい面もあるだろうし、この焦点距離は、どうしても被写体との距離がある屋外で、そして動体を撮ることが多いということで、厳しい条件で使われるズームレンズの一つだと思う。紛れもなくLレンズなのだが、そうした使用状況の厳しさと、焦点距離に違うズームレンズや単焦点レンズと比べられがちなこと(それはアンフェアであることは先に述べた)が、どうもこのレンズに対する眼を、より厳しくしているように思える。
遠くの被写体をもっと大きく撮りたい。ゆえに、長焦点レンズを手にする。それは決して間違ったことではないのだが、焦点距離を延ばすということは難易度も上がる(レンズの設計的にも使用者のスキルの点でも)ということを考慮した上での評価でなくてはならないと思う。200mmや300mmで上手く撮れたからといって、その延長線上でこのレンズを手にすると、厳しい評価になるだろう。300mmを超える焦点域は難しい、特に動体撮影では。遠いから、大きく撮りたいから、といって安易に手を出すと、自らのスキル不足をレンズのせいにしてしまうかもしれない。
このEF100-400のジャスピンの画は、間違いなくLレンズの画だと思う。ただそれを量産するには、撮影者自身のスキルが要求されるように思える。多くの方がこのレンズで、そうした動体を撮っておられると思うが、この難しい(と私が思っている)レンズで、そういった素晴らしい画を撮っておられる方々は、それはすなわち、撮影者自身の力量も高いということだと思う。高性能なヨンニッパで、いつも楽をさせてもらっている私が、気軽に撮れるはずのズームレンズなのに、このレンズで撮る時はどうも疲れる、というのは、実はそういう理由かもしれない。

以上、長々とこのレンズについて書いてきました。お付き合いいただき、ありがとうございました。しかしこれは、あくまで私個人の感想・考えであって、確かな確証を持った解説ではありません。それでも、これをお読みくださった方々に、何らかの参考になれば幸いです。

EF100-400 4-2.jpg

上の作例
1D3+EF100-400mm F4.5-5.6 L IS   焦点距離   400mm  絞り優先AE
F6.3   SS 1/250   ISO 250   評価測光   露出補正 +1/2   AI SERVO AF  RAW
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まーちゃん

私はテレ側の甘さは、現像時のシャープネスで補正してます。
確かに甘さのことが許せなくなったので、456の中古を物色中ではありますが、100-400LのISを切った方がレスポンスがよくなるとあれば、早速明日、次男の大事な試合なので試してみます。
明日は雨なのでテンションがあがります。レンズに自作レインカバーを装着して望みたいです。


by まーちゃん (2010-03-05 22:17) 

kuni8686

こんばんは。

>ココゾという時に、パッとファインダーを覗き、サッと撮る、という単焦点レンズみたいな撮り方では難しい。このレンズは助走期間を必要とする。狙ったポイントより前からしっかり被写体を捕捉し、ファインダーでジャスピンなのを確認してから、瞬時にシャッターボタンを押すような撮り方が要求されるように思える。

最近ようやくこの↑撮り方がわかってきました。今まででは、456やサンヨン等の単焦点のレンズはパッと覗き、スッとAF合わせて、サッと撮るやり方でもピンが来て解像感も出ていたのですが、このレンズではそれが通用しないんです。
私も以前にジュニアユースさんからご指示いただいた通りISOFFで撮っていますが、やはり一脚使用ではOFFの方が良いですね。
by kuni8686 (2010-03-06 23:37) 

ジュニアユース

みなさん、コメントありがとうございます。

まーちゃん さん、こんにちは。
雨の中の撮影になったと思いますが、どうでしたか。ISを切ったからといって、劇的に良くなるわけではないと思うのですが、私の感じでは、平均点が若干良くなるかなあ、と思って書かせていただきました。

kuni8686さん、こんにちは。
ズームレンズは、動体の被写体を捉えるのは楽なんですが、単焦点のようにピッピッといかない場合がありますよね。そんなわけで、最近456をちょっと見なおしたりしています。

by ジュニアユース (2010-03-08 10:19) 

tm-engineering

こんばんは。
この土曜日、小雨の中撮影をしてきました。ISのOFFや、再測距等を再度頭にたたき込み、望んだつもりです。
これまで70-200と100-400の同時使用の場合は、APS-Cで距離が稼げる100-400に7Dをあてがう事が多かったのですが、今回はそこを排除するために、両方に1D2を装着して比較してみました。まだ撮影した全部を確認したわけではありませんが、70-200までとはいいませんが、久しぶりに100-400はやはり「L」といえる物が撮れた気がします。ジュニアユースさんをはじめ、ジュニアユースさんのblogに書き込みされている方には遠く及ばない物ではありますが。7Dでは撮れない瞬間(AFの追随等)、解像度が得られた感じがしました。トリミングの件、ありがとうございました。1D2で400mmでは、少し足りない所もあり、そういうときは、ある程度仕方ない、という感じでしょうか。
by tm-engineering (2010-03-08 20:04) 

ジュニアユース

tm-enginneringさん、こんにちは。
確かに、グランドは広いですから、1D2+400mmでも小さくしか撮れない場合は有りますよね。そういった時は、
・どうせ撮っても見栄えがある画にはなりそうもないから、撮らない
・この子の写真は押さえておかないといけないから、とりあえず一枚は押さえておく
の、どちらかになるのではないでしょうか。後者の場合は、実際に使用する時はトリミングになることが多いですね。
トリミングに関しては、また機会を見つけて、詳しく私見を書こうかなあ、と思っています。

by ジュニアユース (2010-03-09 00:01) 

Pompoko

久しぶりです。
100-400について私も感じていた良い点悪い点を綺麗に整理していただきありがとうございます。
最後のISを切って使う点、私も常々不可解に思っていたのがすっきりした気がします。
ISを入れたまま振ると悪さをしているのでは?とか思っていたのですが、昨今は高感度でもノイズレスになってきたので、思い切ってIS切って使うようにしてみようと思います。
情報ありがとうございました。

by Pompoko (2010-03-16 14:30) 

ジュニアユース

Pompokoさん、お久しぶりです。
ISについてはキッチリ検証して得たものではなく、あくまで私の感じなのですが、このレンズで動体を撮る場合はOFFにした方が結果が良いことが多かったです。ISの不具合というより、直進式ズームとの相性かなあ、なんて思ったりもしましたが、確証はないです。

by ジュニアユース (2010-03-16 22:26)