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熱帯魚店の仕入れ その4 [熱帯魚]

海外から直接仕入れた場合はどうだろう。国内の卸業者を経由しないのだから、その分割安になるように思われるが、そうでもない場合が多い。
海外の業者と直接取引きすることは、いろんなメリットもあるが、ある程度以上の量を、長期間安定的に取引しないと、そのメリットを生かせない。海外の業者も、大口取引先には良い魚を良い状態で送るように配慮してくれるが、いちげんの客や小口の取引の場合は、B級品(魚)を送ってきたり、数をごまかしたり、クレームを言っても聞いてくれなかったり、知らん顔されたり、日本国内の業者間のような常識や配慮が足らないことも多い。
さて、海外から長い時間を経て送られてきた魚たちは、当然弱っている。最悪、死着ということも珍しくない。弱って発病しているケースもある。魚の入っていた飼育水は、当然その国で飼われていた水だが、これも危ない。どんな病源菌が含まれているか分からない。以前、ディスカスエイズが流行ったことがあったが、それはこうした海外からの飼育水から国内に持ち込まれたものだった。海外からの飼育水は、よほど自信のある場合を除いて、絶対に自分の水槽に入れてはならない、魚のみ網ですくって入れて、水は必ず捨てること。
そうして海外から直接仕入れた魚をどうするか、二つに分かれる。一つは、大量に仕入れたはずなので、弱っていることは分かっていても、安価で仕入れたから、安価な値段を付けて、死ぬ前に売り切ってしまうこと。よくセールなどの目玉商品となるケースだ。それでも、日々死魚は出てくるので、そのあたりも計算に入れて値段を付けないと、原価割れすることがあるので注意が必要。もう一つは、しっかりトリートメントして、魚に元気を回復させてから売ること。これには、コストもリスクも時間もかかる。熱帯魚店も、経験は豊富だが、医者ではないし、魚も言葉を話してくれるわけではない。他の動物ほど治療が確立しているわけではないので、それでも死魚はでるし、薬品を使えば、そのコストもかかる。入荷してから、販売できるようにするまで時間もかかれば、その間店の水槽を占拠することにもなる。エサ代もかかる。要するに、国内の熱帯魚卸問屋がやっていることを店が行うわけだ。卸問屋はこれを専門的にやっているのだが、さて店がやるのとどちらがコスト的に有利だろうか。
海外から直接取引きするには、ルート開拓も大切だし、外国人を理解したうえで付き合うマナーや知識や駆け引きも必要だし、大量に仕入れて売りさばく財力も必要だ。そうでなければ、メリットがデメリットになってしまうかもしれない。
 


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