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少年サッカーの撮影 その6 [少年サッカーの撮影]

前回、AFでサッカーを撮るにあたっては、被写体の動きを先回りしてピントを合わせておく必要性を書いた。今回は、その際の測距点(AFフレーム)について。

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一眼レフカメラの位相差検出方式のオートフォーカス(AF)は、レンズから受像素子に向かう光を分割して、ラインセンサーが配置された部分に導き、そこでピント合わせを行う。撮影者はカメラのAFバリエーションの中から、複数あるAFフレーム(□や・で表示)を、任意の1個、限られた複数個、全てのフレーム、から選んで使用する。前にも書いたが、カメラは撮影者の意志や思考を受信する機能は無いのだから、このAFフレームを選び、ファインダー上でそれを狙った被写体に重ね合わせることで、「ここにピントが来て欲しい」という指示を送ることになる。このAFフレームの選択は、全点→複数点→1点と少なく指定するにつれ、撮影者の狙う範囲は狭まり、それはすなわち動体であるサッカー選手の場合、狙ったところにピントを合わせ続ける(狙ったところにAFフレームを合わせ続ける)ことの難易度が上がることを意味する。
全点自動選択は、一見するとカメラ任せの初心者向けの選択のように思えるかもしれないが、ファインダー内で狙う被写体が1つで、それがある程度大きい場合は、それでも狙ったところにピントが得られるかもしれない。しかしそんなシーンは、サッカー撮影では極めて少ない。全点自動選択とは、裏を返せば、AFフレーム全点のうちでどれか1つでも合焦すればそれでヨシ、とカメラが判断するモードである。それでは撮影者の意志が反映される可能性は低い。ましてや動き回るサッカー選手が相手なのだ。当然、撮影者は狙う選手を追ってレンズを振る。それで全点自動選択では、地面にピントがきても、背景の横断幕にピントが来ても、競う相手にピントが来ても、カメラはヨシとするモードなのだから、狙ったところにピントを持ってくること自体が難しい。
複数個のAFフレーム選択も、全点から数を減らしただけで、その限られた複数個のどれかが合焦すれば、それでヨシとするモードだ。全点よりは、あらぬ部分にピントが来てしまう可能性は低くなるが、かといって撮影者の狙いが忠実に反映されるかといえば、疑問・不安は残る。動き回り、選手と相手選手の体が重なり合うサッカー撮影において、複数個のAFフレームのどれかで合焦すればヨシ、というのでは、思うような画が撮れるとは限らない。サッカー撮影ではピントが一番重要、だと以前書いた。ピントは撮影者の意志の表れなのだ。そのピントを、レンズを振って動き回る被写体を追う状況で再現するとなれば、やはり1点指定が最良の選択になる、と分かっていただけるだろう。

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では、複数あるAFフレームの内、どれを指定すれば良いのだろう。カメラは通常、右端にシャッターボタンが有り、そのままファインダーを覗くと、3対2の横長の画が見える。その中央を中心にAFフレームが配置されているのだが、通常最も精度が高く、合焦速度も速いのが中央の1点だ。そして私は、まずはこの1点を指定してサッカー撮影を始められることをお勧めしている。
それでは被写体を中央に置く、「日の丸構図」になってしまうではないか、との意見も出るだろう。確かにそうかもしれない。しかし、たとえ日の丸構図になったとしても、まずはしっかり狙ったところにピントが来た写真を量産することが大切だと思う。構図ウンヌンは次のステップだろう。いや、私がここで書かなくても、思うところに、狙ったところにピントがしっかり来た写真を、一試合のうちにたくさん撮れるようになれば、自然とやる気が出てくる。もっと良い写真を、と欲も出てくる。そうなって、創意工夫や個性の発揮ができる余地が生まれてくるのだ。そこまで来たら、もう加速度的にサッカー撮影に打ち込めるはずだ。

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1枚目:CANON 1D MarkⅡ+EF400mm F5.6 L
2枚目:CANON 1D MarkⅡ+EF100-400mm F4.5-5.6 L IS
3&4枚目:CANON 1D MarkⅡ+EF300mm F2.8 LⅢ+EF1.4xEXTENDERⅡ
5枚目:CANON 1D MarkⅡ+EF400mm F2.8 LⅡ

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