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熱帯魚店の仕入れ その7 [熱帯魚]

昨日例に出した金魚も、現在我々が眼にする金魚は、原種からはかけ離れた、改良と交配を重ねてきた魚だ。熱帯魚も、グッピーなどはその良い例で、以前ブームがあったディスカスも、交配と改良を長年にわたって繰り返し、種としてやっと固定してきた魚だ。その途端、ブームが去って、再度原種が持てはやされるようになったのは、皮肉としか言いようがないが。
東南アジアでは、世界中から様々な熱帯魚を集めて、生産し、または改良して生産している。そして日本にも大量に輸入されるわけだが、そこで疑問が湧きあがってくる。それは、「本当に純血種か?」ということ。店でワイルドとか原種と書かれている魚は、その言葉を信じれば、現地から直接送られてきた魚ということになる。輸送コストなどの点を考えれば、純血種であるということを考えれば、高価なのもいたしかたない。そういった表示がない魚は、養殖固体であるが、本当に純血種同士を交配したものであるのかどうか、疑わしい場合もある。一時コリドラスなどでもあったが、そうした養殖同種固体同士を交配して生まれた子のなかに、どうも近似種に近い子が多数見られた、という話があった。コリドラスなどは、近似種が多くて、ちょっと見ただけでは判別できない魚だから、よけいにそういった「間違って交配して生産してしまった」ということがあるのかもしれない。
熱帯魚のなかには、幼魚期から成長するにつれて、色彩や形を変える魚が少なくない。また、メスとオスで大きく違う魚もいる。Aという名の幼魚を買ったのに、成長するとどう見てもBという魚に思える、ということが、私にも経験がある。店で売られるのは、ほとんど幼魚であることが多いので、なかなか見分けがつかず、店で付けられた名前を信じるしかないからだ。ずさんな管理の店では、大量に仕入れたときに、名前をつけ間違えたり、近似種を同じ水槽に入れてしまって、客に違う種を渡してしまったり、というケースも考えられる。同じようなことが、東南アジアでブリードする段階で起こったとしても不思議ではない。
間違いなくその魚なのだが、近似種の血が混ざっていたり、幼魚の段階で購入したので分からなかったが、成長して初めて自分の思っていた種類とは違うということに気づいた(または気づかずに、その種とばかり思っていた)、ということが、現実にはある。東南アジアのブリーダーを悪く言うつもりはない。彼らのおかげで、我々は安価で熱帯魚を購入することができるのだ。しかし彼らは、種の保全を目的とした学術団体ではない。商売として売れる商品を作っている営利組織だ。そのあたりのことは、頭の隅に入れておいても、損は無いと思う。
それにしても、「原種」とか「ワイルド」と表記されて、高価で販売されている魚も、本当にそうなのだろうか。証明するものは何も無い。
 


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