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不審者 [巷の雑感]


私の家内は、小学校のPTA役員をしている。それで小学校に出向くことが多いのだが、先日の朝も、小学校行くと、先生たちが血相を変えて学校から飛び出してくるではないか。聞いてみると、登校して来た生徒が、カメラを持ったおじさんに後をつけられて、写真を撮られた、ということだ。先生たちは、不審者がいないか、学校周辺を総出で見廻っていたが、それらしい人物は発見できなかった。後でその生徒から詳しく聞いてみると、「おじさん」ではなく「おじいさん」のようだ。そして翌日には更に事情が分かり、どうも新入生のおじいさんが、孫の登校風景を記念に撮っておこうと思い、集団登校の列を自慢のカメラで撮っていた、というのが真相だと分かった。
ウチの小学校区は、都会でもなく田舎でもなく、住宅地と田畑が混在するところだ。そんなところにも、不審者の話は絶えない。後をつけられた、抱きつかれた、卑猥な言葉をかけられた、露出狂、そんな被害にあった話が多い。対象は小学生から大人まで様々。自治会やPTAなどの団体は、そういった場合の対処方法を教え、手の空いている主婦や年配者には、登下校時には子供たちと同伴して歩いたり、見守ったりすることを呼びかけている。その為に、腕章やステッカーを配ったりもしている。もちろん、学校の先生たちも、勉強を教えたりクラブ活動を指導するだけでなく、こうした監視活動も行っている。今の学校の先生には、こんなことも求められているのだ。
先日、黄砂が降った日。太陽が黄砂のなかを沈んでいくのが、何とも幻想的だったので、近所の桜をバックに撮ってみようかと、カメラを道端で構えていた。もう少し太陽が下に行ったら、と思い、しばしカメラを片手に待っていると、いろんな角度から視線が飛んでくるのに気がついた。道を歩く人々が、通り過ぎる車の運転手が、付近の住宅から、不審な眼で見られているようだ。特に景色の綺麗な所ではない、住宅地の道端で、カメラ(しかも望遠レンズ付)を手にした男がウロウロしているのは、やっぱり不審者なのかもしれない。撮影は諦めて、さっさと家に帰ることにした。カメラを手にしていることが、不審者に思われることとイコールになるような世の中とは、何と言うか・・・
不審者は犯罪者ではない。だから警察が取り締まることはできないのかもしれないが、犯罪が起こってからでは遅いのである。だから、不審者が犯罪者にならないように、地元住民や地域の団体が、自主的にパトロールしたり、声を掛け合ったりして、犯罪を未然に防ぐ努力が、全国的に行われている。見方を変えれば、それだけ警察というものに頼れなくなっている、警察も人手不足や人権の壁で自由に動けなくなっている、とも言える。
それにしても、我々カメラや写真撮影を趣味としている人たちは、いや孫の写真を記念に撮りたいお爺ちゃんさえも、不審者呼ばわりされてしまう世の中、悲しい時代ではある。
 


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