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熱帯魚店の値付け その8 [熱帯魚]


熱帯魚店は、どのように値段を付けているのか、長く続けてきたが、その最終回である。
さて、器具はどうだろう。水槽・ろ過機・ポンプ・ヒーター・エサなどは、メーカー希望小売価格が決まっているものもある。しかし、この業界では、そんな値段などまったく当てにできない。実売価格はそんな定価とは、かけ離れた値であることが多い。ここでも数の論理は有効で、問屋やメーカーから大量に仕入れると、1個当たりの仕入れ単価はぐっと安くなる。それを考えると、大型店や大都市にある店(来店数が多い)、チェーン店(共同仕入れ)などが有利で、地方にある1店舗というのは、この点では極めて不利である。
器具は熱帯魚などの生体とは違って、死なない。場所さえ確保できれば、いつ売っても儲けは同じ。一部のエサを除いては、賞味期間も考えなくても良い。これまで書いてきた、生体であるためのコストは考えなくてもよいのである。
ただそれは、同じ商品なら何処で買っても同じ、ということでもある。A店で売っているグッピーとB店で売っているグッピーは、同じグッピーでも価格も状態も大きさも違う。だから、購入者がそれを見極めて、よりよい品を選んで購入する。しかし、器具などの同一商品なら、A店で買おうがB店で買おうが、同じである。そうなると、価格勝負だ。
器具類に関しては、店の儲けは極めて薄い。一部の、高額で大型の水槽や特注品を除いては。それは、他店との競合価格の設定のせいである。1万円の水槽セットが売れても、純利益は千円にもならないことが多い。かといって、1万円の水槽セットが、1日に何本も売れるわけでは無い。特売やセールの時などは、問屋やメーカーに協力してもらうこともあるが、過剰在庫品を原価で売り出す、つまりは儲けは無し、ということもある。そうしないと、「安い」と思ってもらえるような値段にはならないからだ。それでも、熱帯魚のように、死なないから、損は出ない。ただ、器具だけで店を維持するのは、事実上無理と言わなければならない。

さて、熱帯魚店の値付けについて、だいたい分かっていただいただろうか。どの業種も決して楽な経営をしているわけではないだろうが、熱帯魚などの趣味の店は、なかなか儲かるものでもないし、もしこれから熱帯魚店を始めようか、と考えている人(バブルの頃はよく見かけた)がいれば、今一度考え直した方がよいかもしれない。
 


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