SSブログ

えさ金 その1 [熱帯魚]


 
熱帯魚のなかには、他の魚を主食とする種がいる。動物のように「肉食」とは言わないが、そういった「魚食性」の魚のエサとなるのが、日本では一年中手に入りやすい金魚だ。
エサとなってしまう金魚、こういった「エサ金」は、大量に金魚を生産している業者が選別していくなかで、商品としては価値の無さそうな金魚を、エサとして売り出しているものが多い。まあエサとはいえ、金銭で売買するのだから、商品の一つには違いないが、観賞価値はきわめて低い。また、最初からエサ金として生産されている金魚もいるらしく、金魚養殖業者にとっては一年中売れて、当り外れが無いので、固定収入源となっている。エサ金は、大きさの大小で値段が違うが、当然大きくなるほど値段が高い。大きくするためにコストがかかり、色や形でなく、大きさで価値が変わるのだから、これは当たり前だろう。
長期間飼育するわけではないので、こうしたエサ金の取り扱いは、業者も店も丁寧ではない。金魚自体が、悪い環境でも強い種であることも手伝って、大半がいいかげんな状態で販売されている、と言っていいかもしれない。なので、購入しても長生きしないばかりか、数日で全滅ということも少なくない。エサではあるが、生き物なので、死んでしまっては商品価値は無いが、かといって維持費をかけるほど、儲けが多いわけでも、価値が上がるわけでもないので、難しいところだ。
それは購入した側も同じ。同じ魚類だけあって、病気や寄生虫を飼育水槽に持ち込む原因となりやすい。エサ金は、購入したらそういったことがないように、トリートメントしてから、エサとして飼育水槽に入れたいところだが、そんなことをすると手間もコストもかかる。ただでさえ悪い状態で購入したエサ金を、薬浴などさせようものなら、エサとして使用できる数はもっと減ってしまう。エサとしては、最も手間がかかって、価格も高く、維持も面倒。できれば取り扱いたくないエサだと思う。
魚食性の魚にエサ金をやると、野性味たっぷりな捕食シーンが見られる。こうした魚を飼っている人には、たまらない瞬間かもしれないが、反面、残酷だという意見も否定できない。他の動物を殺して、その肉を食べている人間(私も含めて)が、偉そうなことを言うべきではないかもしれないので、この件には深くは触れないが、そういった魚食性の魚にも生きる権利はあるので、やむをえないのかもしれない。しかし、できればこうしたエサ金ではなく、人工フードだけで飼育したいものだ。何となく気持ち的にも、金銭的にも。
 


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー