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セカンドインプレッション その1 [カメラ]


 
1D3が手元にやってきたのは、発売開始日の5月31日。ファーストインプレッションを、このブログにも書いたが、そろそろ続きを書かねば、と思っている。まあ、偉大なプロカメラマンや著名な評論家の論評ではない、一般ユーザーのひとつの感想として読んだいただければ、と思う。

10年ほど前、NSXという車に乗っていた。国産唯一の本格的ミッドシップスポーツカーというヤツだ。この車、街中で乗り回しても思ったより無難に扱え、背が低くて幅の広い車だったが、普段乗りに使っていた。「何不自由無く」と言うにはちょっと語弊があるかもしれないが、さすがに国産車だけあって、その点はポルシェやフェラーリとは違う。けど、街中で乗って、不満は無くても喜びも無い。街中の交差点を勢いよく曲がっても、ウ~ン、さすがミッドシップ、とは思わない、感じない。しかしこれを、人里離れた山道へ持ち込んで、思い切って振り回してみると、印象は豹変する。ただのアンダーだ、と思っていたハンドリングは、きちんと荷重移動に応じた切込み方をすれば、見事なニュートラルだし、センチ単位でクリップを削るようなときも、正確無比な反応を見せてくれる。コーナリングスピードは、運転者の腕をあざ笑うかのように高く、パワーはもっと有ってもよいのかもしれないと思わせるシャシーの剛性感は、他の国産車とは次元が違う造りだ。つまり、ユーザーが本気で、集中して、相対せば、その秘められた実力を垣間見ることができるが、ユーザーがそうでないときは、爪を隠した猫のように、ボーっと従順な車だった。
1D3はスポーツカーみたいだ、というのが私の印象だ。風景だろうと、ポートレートだろうと、スナップだろうと、どんな被写体・目的でも、ソツ無くこなしてくれる、現代の優秀な工業製品だと思う。けど、秒10コマの高速連写性能を発揮できる動体撮影において、撮影者の意識と能力とセンスと勘と集中力を、研ぎ澄まして、総動員して相対せば、それに確実に答えてくれる懐の深さ、能力の高さを持っている。またそうして相対せねば、本当の実力を知ることはできないのかもしれない、と感じる。
ただし、NSXで高速ドリフトを決めることが難しいのも、事実である。NSXをドリフトさせる。高度なシャシー性能を持つNSXだから、当然高いコーナリング速度で、ということになる。他の乗用車以上の、センシティブな神経と、鋭く適切な操作が要求される。それでも、「唐突すぎる」とか「流れたら止まらない」とかのマイナス評価を受ける。それはNSXの欠点なのか。
1D2から1D3に替えて、まず私が感じたのは、AFのセンシティブな反応だ。確かに動体に対するAFの追従能力は上がっていると思った。しかし、非常に敏感に反応するようになった反面、ユーザーの操作にもシビアになったような印象を持った。領域拡大を設定しているのもかかわらず、ちょっと外すだけで冷たい反応を受けるときがある。領域拡大を使って、AFエリアに被写体を引っ掛ける、というのがシビアになったな、という印象。性能を上げる、性能を尖がらせると、許容範囲が狭くなる、といったら分かりやすいだろうか、そんな印象を持っている。だからそういう意味では、1D2の時よりもスキルを要求するのかもしれない。
これは欠点というよりも、進化に合わせてユーザー側も、リセットする必要性を言っているつもりだ。もう一度、襟を正して相対する必要性を感じている次第である。

下の作例
1D3+EF24mm F1.4 L     焦点距離 24mm
F3.2   SS 1/13   ISO 1600    評価測光   露出補正 + 1/3   ONE SHOT AF   RAW


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