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追従敏感度と測距点選択特性 その4 [カメラ]

まだ前回の続きで、新設された「測距点選択特性」についてである。
前回書いたように、手前を横切る障害物にピントを持っていかれないようにする、というこの機能が、実際には機能したりしなかったりする。そこでもう一度、マニュアルに書かれたこの機能の説明を読んでみると、

 C.FnⅢー4  AIサーボ時の測距点選択特性
   AIサーボAF時の被写体補足中に、測距中心に、より撮影距離の近い(手前に)被写体が入った
   時に、その被写体にピントを合わせるか、障害物として無視するかを設定することができます。
     
   0:測距中心優先
     測距点が測距中心に乗り移り、手前に入った被写体にピント合わせが行われます。撮影したい
     被写体が、一番手前にあるシーンで有効です。

   1:測距連続性優先
     手前に入った被写体を障害物として無視します。測距中心にこだわらず、直前の測距結果から
     被写体移動の連続性を判断して、測距点の乗り移りが行われます。撮影したい被写体の手前
     を、柵や電柱などがさえぎるようなシーンで有効です。

上記のように書かれている。これだけをスラッと読むと、0に設定すれば、最も手前の被写体にピントが移動し、1に設定すれば、撮影者の狙った被写体にピントを合わせ続けてくれて、障害物が横切っても、それにピントを持っていかれない、という解釈ができる。しかし実際には、前回紹介した写真のように、障害物にピントを持っていかれたり、持っていかれなかったりする。この違いはどこから来るのだろう。
ポイントは、上記のマニュアルに書かれた「測距点の乗り移り」という書き方だ。AFフレームを任意の1点に指定して撮影したとして、残りのAFフレームは作動してないのかと言えば、そうではない。0:測距中心優先では、指定したAFフレームの通りに手前の障害物にピントを持っていかれる(遮る時間によっては、敏感度を落とすことで、持っていかれない場合もある)。1:測距連続性優先では、指定したAFフレームで被写体補足中に、障害物に遮られ、測距できなくなった時に、その直前の結果から他のAFフレームを利用して、直前にピントを合わせていた被写体を補足し続けようとする。
例えば、AというAFフレーム1点を指定して被写体を補足していたとする。しかし、指定したのはAというAFフレームだが、実際には他のAFフレームも稼働していて、Bという他のAFフレームも同時に被写体を補足していたとする。Aが障害物で遮られ、測距できなくなった時、Bも補足していたという直前の結果から、実働AFフレームがAからBへ「乗り移り」、障害物が去るまでBを使って被写体を補足しようとする。障害物が去れば、また当初指定のAが実働AFフレームとして機能する。つまり、この「測距点選択特性」の機能は、ロストした被写体に対し、指定外のAFフレームを使ってでも、補足し続けるかどうか、という選択機能のようだ。
そこで、前回の記事の連続写真を再度見て欲しい。障害物にピントを持っていかれた写真は、障害物が他の多くのAFフレームを遮っていて、他のAFフレームを使おうにも使い難いのに対して、障害物を無視した写真では、かろうじて他のAFフレームでアシストできるような障害物であったことが、何となく理解できる。
しかし、この機能の説明にしては、何とも理解しにくい、このマニュアルの記述だと思う。
 


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