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引越 その2 [日々の徒然]

引越しが終わり、いよいよその場を離れる日が来た。
16年間、毎日のように通い続けたその職場から、離れる日が来た。その日までは、引越しの煩雑さに紛れて、感傷などまったく湧きあがらないな~、と思っていた私だが、引越しが済み、部屋が空っぽになってしまうと、もう自分のいる場所が無くなってしまったことを実感させられ、グッとくるものがあった。
引っ越しを経験したことのある方なら分かると思うが、荷物を全て運び出してしまい、そこに最初にやって来た当時の状態に戻すと、こんな広い部屋だったんだ、などと再確認する。昔の歌謡曲の歌詞ではないが、机や本棚を退けると、その場所だけじゅうたんや壁紙が色が違うことに気付く。色が変わっているのではなく、色が変わらないでいたために、その部分だけが時間の経過を伴わない、昔のままの匂いを残しているのだ。そんな色の変化と押し付けられて着いた家具の足跡が、時の流れを表しているのだろう。
一度も引っ越しなど経験しない人も、転勤族と言われ、何度も経験させられる人もいるだろうが、私はこれで4度目。その度に、慌ただしさと新生活に向けた期待とで、過去を振り返る感傷は押し流されていたのだが、何だか未来の期待より、そこでの懐古の方が大きくなっていることに、今回初めて気付いた。もう私も若くはないということだろう。
さまざまな思い出と、出会ってきた人、別れてきた人たちとの思い出と、そしてこの部屋から去っていく感慨は、今は忙しさに流されてはいるけれども、いつかひょこっと出てくるような気がする。それはそれで、自然なことなのだろうし、長い人生、ちょっと立ち止まり、振り返り、懐かしむことは、決して悪いことではないだろうと思う。ずっとそうしてはいられないことは、分っているのだから。
運動不足の体での荷物運びは、少々の筋肉痛を手足に残してくれたが、そんなことではなく、これが一段落したら、少しだけ休みを取ろうと思っている。これから先の人生のために。


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