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1D3のAF不具合 私的考察4 [カメラ]

「1D3のAF不具合の私的考察」は前回で終わるはずだったのですが、反響が大きく(閲覧数が通常の倍)、コメントもいろいろいただきましたので、もう1回だけ書かせていただきます。

AI SERVOで動体を撮る、しかも連写で、というのは、カメラにとって難しいシチュエーションだと思う。一定方向の一定速度の動きなら、まだ予想がつくかもしれないが、動きが不規則で、その移動速度・方向もマチマチの場合は特にそうだろうし、刻一刻と変わる撮影状況を連射で撮るとなると、なおさらだと思う。カメラには未来を100%予想する機能は付いていないし、付いているのは直前の動きから直後の動きを予測する機能と、それをできる限り瞬時に対応する機械的なレスポンスだけなのでから。そして撮影者の撮影スタイルも様々、狙う被写体、撮影条件なども様々、そんな状況での動体撮影・連写撮影だから、全てうまく撮れるというのは、現時点の技術では無理だと思う。なので、今回のリコール修理を行ったからといって、以前より悪くなることは無いにしても、全てがうまくいくとは思っていないし、思うべきではないと思う。
1D2が発売された時も、様々な不満がネット上で語られたが、その後に発売された1D2Nではそういった話がぐっと少なくなったことを考えると、1D3Nが発売されたら同じようになるかもしれない。ただ、1D3のAF性能は、基本的には1D2を超えていると、私的には思っている。が、機敏で敏感なために、結果として画に表れてこない場合があるのではないか、という印象を持っている。結果に出せない高性能というのは、高性能ではない、と思うのだが、それでも今後向上する可能性が充分あるという点で、投資した金額を惜しいとは思っていない。今のところ私は。
開放F値がF2.8のレンズだと不具合が起きにくく、それより暗いレンズだと起きやすい、という前回までの書き込みは、不具合発生頻度がレンズの明るさに左右される、つまりはAFセンサーに届く光量に左右されるのでは、というものだが、これはあくまで私の推論でしかなく、当たっているかどうかも分からない。けど、明るいレンズばかりを使うのは不可能だし、それで自然治癒できるわけでもないので、やはり今回はメーカーにて修理するのが最善の方法だと思う。ただ、これとピントのズレとは別問題なので、分けて考えないといけない。
キヤノンの技術者でも内部の人間でもないので、詳細は定かではないのですが、これまで得た情報だと、キヤノンでは、ボディ・レンズ両方でピント調整でき、それは電気的なものだということ。ピントの調整とは、レンズやボディを分解して、ミクロ単位でレンズやミラーなどの部品を動かして調整する機械的なものではなく、そういった機械的な部分は、正常に作動しているかどうか検査するのみで、それが正常(基準値)であれば、実写によるテストを行い、電気的な調整(データ補正や補正データの入れ込み)で対処しているようだ。まず、ボディ側にキヤノン基準レンズを装着して実写し、ボディ側の調整を行い、その後持ち込まれたレンズを装着し、キヤノンで決められた光源の下、目標チャートと正対する形で実写して調整する、ということらしい。
これらの電気的な調整の一部を、ユーザーに開放したのがAFマイクロアジャストメント。これは、ピント調整の一部であって、メーカーでの調整は、AF関係のもっと広範囲な検査も含んでいるはず。そのため、この機能が搭載されたといっても、メーカーでの調整が無意味になったとは考えられず、異常を感じた場合は、メーカーでの調整も必要だと思う。もっとも、異常を感じないのに調整に出すのはモラル的に問題だと思うし、ボディに関しては、一度出せばよいと思うが。
なお、AFマイクロアジャストメントの調整は、前後20段階でできるが、1段階が何ミリに相当するかは、使用レンズ、被写体との距離などで変わってくるので、単純に何ミリ後ピンだから何段階動かせば良い、ということはできない。自分で何度も試写して調整してみるしかない。もう一つ、ピントの検査を自分でやってみる場合、某掲示板などでよくあるのだだ、メジャーなどを置いて斜め上方から撮って確かめる、という方法では、概して後ピンになる。それは、被写体を斜めに撮ることになるからで、メーカーでの調整のように、被写体となるものを置き、それに正対する形で撮影しないと正確な判断はできないと思う。もちろん、光源による影響もあるので、そのあたりも考慮しないといけないのは言うまでもないのだが、そういったことを考えないで試写して、ピントがズレている、とか、調整したのに治っていない、というのは、「?」と思う。
ちなみにこのマイクロアジャストメント、キチンとやろうと思うと、試写して調整、試写して調整、というのを繰り返さなければならない。しかも、きちんとしたピント調整の知識や状態でやらないと悪影響が出る、面倒で知識のいる機能だ。40Dなどでは搭載されない方がよいと思う。
結論として、不具合は不具合なのだから、速やかに修理に出すべきだ。自分ではできないのだから。しかし、それで全てうまくいくほど、現在のAFは完璧ではないと思う。やはり動体撮影は「腕」に左右される部分がある。

今回は、長々と書いてしまい、失礼しました。ちなみに私は、年内・年始めに撮影スケジュールが入っているので、年明けの空いた時期にこのクレーム修理に出そうと思っています。
(この記事は、公開後一部訂正したことをお詫びします)

上の作例
1D3+EF100-400mm F4.5-5.6 L IS       焦点距離 170mm
F5.6   SS 1/800   ISO 400    評価測光   露出補正 +1/3  AI SERVO AF  RAW


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