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宅配 [巷の雑感]


私が自動車免許を取ったのは20歳の時だから、もう随分昔の話である。
その時に父から、「タクシーの後ろを走っているときは気を付けろよ。突然止まったり、車線変更するから」と言われたことを今でも覚えている。それから毎日のように車を運転する生活をしているが、最近はタクシーより宅配便の車の後ろを走ることの方が、気を付けないといけないと思う。
東京など大都市だと、利用する人も多いのだろう、見渡せば必ず見つけられるほど、タクシーの数は多い。日常生活に自家用車が欠かせない地方だと、タクシーの数は少ない。けど、宅配便の車は、そんな地方都市でもよく見かける。そして、家や店など個別に配達するその車は、いつどこで停まるか分らない。大通りであろうと、細い住宅地の路地であろうと、道が込んでいようが空いていようが、停まる。こんなところで、と思うところでも停まる。街中で停まると必ず後ろに渋滞の列ができる。タクシーの場合はそれでも、客を乗せると直ぐに走り出すことも多いが、宅配便の車は、一旦停まると直ぐには動き出さない。なので、追い越さなくてはならない。そこで無理して追い越そうとして、何度危ない目にあったことか。また、そんな危険な場面を、何度見たことがあっただろう。
もちろん、宅配便の運転手も、なるべく他車の通行の邪魔にならないよう、配慮しているのだろう。でも彼らとて仕事だから、停まらないわけにはいかない。積み下ろしはテキパキと、時に走ったりして、短時間での駐車に心がけている様は分かる。追い抜いていく車から投げかけられる、冷たいドライバーの視線や、時に罵声を浴びたりする彼らの気持ちも、察するに余りある。
人や荷物の積み下ろしのために、5分以内の停車は法律で認められている(何処でも良いわけではない)。まして、依頼を受けて、仕事でやむなく駐車するのだから、冷静に考えれば、私にも同情や協力心が無いわけではない。しかしやはり、交通の妨げとなっているのは、いかんともし難い。
昔は、国内間でも2~3日かかるのが当たり前だった。荷物を送るのに、引取りに来てもらえるなんて無理だし、自分で集配所まで持っていくのが当たり前だった。流通が発達して、何でも早く、便利に荷物を送ったり、届いたりできるようになった。配達時間も指定できるし、不在なら言えばまた配達してもらえる。今は本当に便利になったものだ。その便利さ、もちろん私も享受しているのだが、その引き換えがコレなのだろうか。そんなに便利にならなくても、とちょっと思う。
年末は荷物が多くて大変だ、と宅配便のドライバーは言う。そして彼らは、師走の込み合った街を、夜遅くまで駆け回っている。今夜はクリスマスイヴ。今夜中にどうしても届けなくてはならない、たくさんのサンタクロースもまた、荷物を届けに駆け回っていることだろう。


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