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リコール修理後 その2 [カメラ]

あえて言わせていただければ、これまでの1D系のインターフェイスや操作性を大きく変更して、新シリーズとしてモデルチェンジした1D3だが、振り返ってみて熟成不足の感はある。そしてその顕著な表れが、今回のリコール修理という形につながったのだろう。フラッグシップの新製品に、キヤノンの意欲と技術をつぎ込んだのは分かるが、1D3のAFが、発売当初のキレが無くなり、1D2や1D2Nに近くなってしまったなら、後退という見方もできる。1D2の方が良かった、という声が一部で出てきてしまうのも、しかたないかもしれない。
UDMAに対応できなかったことも、キヤノンの余裕の無さを表しているように、今にしてみれば思える。高速連写機としては、メディアへの書き込み速度向上は、何よりも重要な部分だ。1D3発表当時は、UDMA対応のCFは市場に出ていなかったかもしれないが、情報としては有ったはずだ。ここまで待ってもメーカーからアナウンスが無いことを考えると、多分ファームウェアのバージョンアップでは対応しきれないのであろう。発表から発売開始までの期間の長さを考えても、何だか急いで市場に送り出した印象は避けられず、やはりこの点でも熟成不足と言わざるを得ない。
では、1D3は失敗作で、買わなかった方がよかったか、と言われれば、それは否定する。今回のリコール修理後のAFについては、1D2や1D2Nに比べて、同じようなったわけでも、劣っているわけでもない、と思っている。何の問題もない通常撮影時における、早く正確でレスポンスに優れるAFは、その基本性能の高さは1D3のAFの方が優秀だと思う。様々なシチュエーションでの対応力に若干の問題があるにしろ、AF性能を追求した結果の弊害、といえば、ちょっとキヤノンの肩を持ちすぎだろうか。使う側にスキルを求めるような機種は未熟だ、とも言えるかもしれないが、キヤノンのプロ用機としての使命も考えれば、ユーザーをある程度選ぶのもいたしかたない部分かもしれない。
何もAFがカメラ性能の全てではない。それ以外では、ほとんどの部分で、過去モデルを凌駕する。画素数アップ、高感度特性、ISOセイフティシフト、AFマイクロアジャストメント、セルフクリーニング機能、バッテリー性能、連写性能、そして使用者が自分に合わせてカスタマイズできる懐の深さ、など。AFの件をさておいても、これらの点だけでも十分に買う価値のある機種だと思う。
フィルム一眼のような熟成された製品で無い以上、新モデルは必ず前モデルの性能を超えて発売される。デジタル一眼レフカメラは、過去も現在も、まだ発展途上の製品だ。100点満点の機種など存在しないし、もし有ったにしても、時間経過とともに100点ではなくなる。長所と欠点が混在するなら、その長所が自分にとって欠くべからざるものなのか、その欠点が自分の撮影状況で容認できないものなのか、それを判断して機種選択すべきだと思う。「木を見て森を見ず」では、いつまでもデジタルカメラは買えない。私は1D2から1D3に買い替えたのだが、後悔していない。1D3の後継機は、必ずもっと優れた機種だろうが、それを使うユーザーも(その意識も技術も)立ち止まれない。
リコール修理後の印象2.jpg

以下余談だが、1D3になった時にAPS-Hを継承してくれたことも、購入動機の一つだった。これがフルになってしまうと、レンズラインナップの再構築を迫られる可能性があり、更に多額の出費を強いられそうだから。フルサイズを推し進めるキヤノンが、1D3の後継機にフルサイズセンサーを投入する噂もあるが、そうなるとこの1D3が、APS-Hの最後のモデルとなる可能性もある。そうなったら、余計に手放せない。
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