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元旦営業 [巷の雑感]

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2008年が始まったばかりだと思っていたら、もう4月。卒業・入学・新年度・新生活も、もう落ち着いた頃だろうか。ちょっと前の話で恐縮なのだが、先月末にネット情報を眺めていると、業界最大手のヤマダ電気が元旦営業をやめるという知らせが流れた。
正月なんて、まだまだ先の話なのだが、稼ぎ時の初売り日を一日削ることは商売上はイタイことだろう。何といっても他店では、未だ追従の様子はないのだから。翌1月2日は営業するので、休日が1日増えただけ、と余裕を見せるコメントも聞かれ、さすが最大手の太っ腹というところだろうか。しかし、正月に営業すること自体に、そもそもの問題があったのでは、と思ってしまう。
私が子供の頃は、正月三が日はどの業種・どの店でも休みが当然だった。なので、年末には食材などを買い込んで、正月は家族とコタツを囲み、おせち料理をはさんでの団欒が当たり前だった。ところが1月2日から営業という店が増えてきて、更に元旦営業も珍しくなくなってきた昨今、正月といってもいつもと変わらぬ街の光景になってしまった。サービス業に従事する私としては、年末年始の人材確保に苦慮していたことを考えると、日本人の感情としては、年の大切な節目である正月に、いつもと同じように働かなければならないことには、少なからず抵抗感があるはず。製造業などではそんなことはないだろうが、パートやアルバイトなどの非正社員の多いサービス業では、競争に勝ち抜くため、職を失わないため、に無理をして正月返上で働き続けてきたのではないだろうか。
男女雇用均等法やパート・アルバイトの正社員並み待遇改善、余暇時間の拡大政策など、国や法は労働状況の改善・均一化に対して対策を講じてきたが、この正月営業の有様だけを見ると、効果を上げているとは思えない。この国で第3次産業と言われるサービス業に、生活の糧を得ている人が増えている現状で、まさかサービス業従事者は、他の人が休んでいる時に働くのが当たり前、と考えているわけではないだろうが、本来休日であるのが当たり前の日にも営業し、本来寝る時間である深夜まで営業し、利便性を掲げて利益を追求してきたサービス業は、本来の「人が行う価値の提供」という点を軽視してきたのかもしれない。
ヤマダ電気の決断の目的は、CO2削減なども謳っているが、実は人材確保が主たる目的だろう。「企業は人だ」と誰かが言ったが、なりふり構わぬ利益追求からの転換期に差し掛かっていることを示しているのかもしれない。最大手の行動に、業界他社が追従するのか、他業種にも波及するのか、いややはり元に戻ってしまうのか、サービス業以外の人にも、今後の正月の在り方に変化があるかもしれない。
資本主義経済では、利益追求は当たり前。何でも便利に安くなることは良いことだ。しかし、正月は正月らしいほうが、良いと思う。
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