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熱帯魚の病気 その3 [熱帯魚]

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病気の治療というのは、知識や経験や技術を持った人が、症状をつぶさに観察して、多くの処方のなかから最適なものを選んで処置する、というのが最も効果的なのだが、熱帯魚の場合は、現在はどれも不完全だ。熱帯魚用の獣医もいないし、熱帯魚用の治療薬も少ないし、その効果もマチマチ。克明に症状を観察する、といっても、それは飼育者しかできないことだし、どうしても話を聞いた上で症状を推測する、という域からは出れない。同じ症状でも、経験豊富な飼育者と初心者では、説明がまるで違うこともよくある話だ。
私たちが医者に行って診察してもらえば、その代金を払うことは当然だと思っている。獣医に犬や猫を見てもらった場合もそうだ。しかし、熱帯魚店に聞きに行った時に、そのアドバイスに対して代金を払うことはまず無い。それはつまり、代金に値するだけの責任を持った正確な情報ではない、ということと、アドバイスだけでは商売として成り立たないということ、販売する商品(薬)のセールストークにとの差が少ないこと、を意味しているのかもしれない。要するに、どう考えても「善意の忠告」程度しか得られないということだ。
熱帯魚店は商品を売って、その代金を得ることを商いとしている。熱帯魚用の治療薬も商品なのだから、その商品を売ろうとするのは当然なのだ。それも、なるべく高価な商品を売ろうとする、それも店なら当然なのだ。さてそこで、どの程度まで治療にお金をかけるか、という点が湧いてくる。
たとえば、飼育しているネオンテトラ10匹が白点病にかかった。その治療に2000円の薬を購入するかどうか。つまり、治療薬の方が魚よりも高価なのである。そしてその薬を買ったとて、必ず全快するとは限らない。投薬しても、全滅するかもしれないし、半分だけ生き残るかもしれない。純経済的に考えれば、薬を買うのはリスクの高い話だ。もちろん倫理的には、熱帯魚とて一つの命。飼育する以上は、できる限りのことをしてやるのが当然だろう。生き物の命の価値を、その治療薬の値段と天秤にかけてしまうのは、本来間違った考えなのかもしれないが、「しかし・・・」と考えてしまう人も多い。
そうして考えている間に、基礎体力の少ないネオンテトラなどの小魚は全滅してしまう。そして、熱帯魚店の店主は、結局いつものように、時間をかけて説明しただけで、治療薬を売り損ねて、一円の利益もあげられない。実はそんな話は山のようにある。
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