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安全パトロール [巷の雑感]

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昔、私が学生だった頃は、自転車という乗り物が唯一の交通手段だった。自家用車の普及につれて、すっかり乗る機会が激減していたが、最近では自転車を利用する人を多く見かけるようになった。都会では、駅や大型店舗周辺には自転車がずらりと並び、駐車場問題や交通渋滞、環境問題などを考えると、自転車の有用性が見直されていることに気付く。まあ、別の問題も発生しているようだが。
ウチの自転車カゴには、「安全パトロール中」というステッカーが貼られている。先月、東京に行った時も、このような自転車を見かけたので、これは全国的なことなのだろう。地域の自冶会やPTAで話し合って、街を走る保護者の自転車に、こうしたステッカーを張ることで、防犯意識の向上と犯罪の未然防止を目指すということらしい。確かに、全国的に子供を狙う犯罪が後を絶たないし、こんな街でも不審者やチカン、空き巣などの話が聞かれるのだから、こうしたステッカーを張った自転車が走りまわれば、抑止効果があるかもしれない。それに、こんな自転車は盗まれにくいという効果も。
地域の会合では、小学生の登下校時には、なるべく外に出て、生徒たちを見守ってください、と言われている。限られている警察力では、犯罪を未然に防げない。家に引きこもっている専業主婦や老齢者の方々に、一時でも外に出て見守っていてくれるだけで抑止力という協力になるのだから、街に大人の眼を増やして、防犯に役立てようというわけだ。逆に言えば、それだけ人の眼が街から少なくなった証拠かもしれない。こんな地方の住宅街でも、昔は外に出ればどこかに人影を見つけられたものだ。核家族化とプライバシーの尊重、女性の社会参加の増進による共稼ぎ家庭の増加、そして不況などにより、こうした地方都市の郊外や住宅地の街角から、大人の眼を少なくさせたのかもしれない。そして、それに反比例して、弱者を狙った犯罪の増加。
先日も、学校の連絡網で不審者情報が流れた。下校時の小学生の後を付ける、カッターナイフを持った男の姿を複数の人が見たという。こうした連絡は、別に「不審者を捜せ」とか「取り押さえろ」というわけではなく、登下校時の小学生を見守って、犯罪を未然に防ぐ、犯罪が起こった時に迅速に対処する、という目的だろう。そして、こうすることが実は、近所の人たち同級生の親同士の顔を合わせた付き合いが生まれたり、そこまで行かなくても、顔も知らない隣人というのが少なくなったりする効果もある。
反して、男性は気を付けた方が良いかもしれない。日中、家にいない夫はどうしても顔を覚えられることが少ない。そういったお父さんが、下校時に子供に声を掛けようものなら、不審者と思われるかもしれない。自転車カゴのステッカー以外に、ウチには「防犯パトロール」と書かれた腕章やたすき、ネームカードもあるが、それらを持っていないと、道端で自分の子に声を掛けること、いや、ただ立って見ているだけでも、不審者と間違われることもあるかもしれない。先月も、年配の男性が道端で登校時の子供の写真を撮っていたという。カメラを向けられた子供が学校に着くとすぐ先生に話したものだから、不審な盗撮者がいる、ということで騒ぎになった。よくよく調べてみると、新入生の孫の登校風景を記念に撮りたくて、ということだった。
今の世のお父さん方は、そういった意味では、不憫かもしれない。
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