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80円引き [巷の雑感]

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若い頃には随分、この牛丼にお世話になった。何といっても安価で満腹感がある。育ち盛りでいつも空腹、だけど貧乏という学生時代には、主食を務めてくれた時期もあった。歳と共に少なくなったが、それでもたまに食べたくなる時がある。東京在住時は、どんなところでも見かけたが、地方暮らしでは一都市一軒くらいしかなく、車で行かなければ食べられない点が、ちょっと億劫になりがちだった。
連休前の新聞に入ってきた80円引きのチラシが、久しぶりにこの食欲を刺激してくれた。で、息子のサッカー撮影の帰りにちょっと寄ってみた。店内はやっぱりチラシ効果かTVCM効果か混んでいたが、皆さん美味しそうに牛丼を頬張っている。私も並盛を注文。学生時代は大盛りが標準だったのに。
いつもと変わらぬ味を楽しみながら、ふと店内の掲示を見て思った。今回80円引きになるのは、全て牛丼。これならいっそ「全品2割引」にしてくれた方が良かったのでは、そちらの方が店としても売り上げが上がったのではないか、と。
昔と違って今は牛丼以外のいろんなメニュがあり、それでも最も多く注文されるのは牛丼に違いないのだが、メニューラインナップのなかでは安価な方だ。高価な商品を一時的に割引して味わってもらい、今後の販売促進にする、という手法は今までも有った。主力商品で、最安価の商品のみを割引するのは、客単価の低下を伴い、店の総利益として考えると、得にはならないのではないだろうか。ましてや新商品とかではなく、既に広く認知されている商品(牛丼)なのだから。結果的に、この期間の注文は主力商品に集中し、それが安い商品(最安価は豚丼だが)のため、客単価を低下させることに繋がり、利益的には美味しくないと思うのだ。確かに私のように、チラシに釣られてやってくる客も多いだろうから、客数は増えると思うが、380円を300円にしてしまうと、たとえ客数が増えたとしても、今回の広告宣伝費を差し引いた利益はほとんど無いと思われる。
では、メリットはどうだろう。主力商品を割り引いて注文を集中させる。そうなると、主力商品の在庫のみが少なくなる。そうなると、主力商品の原材料の在庫過多解消が主目的なのか、という考えが浮かぶ。この時期に主原料の輸入牛肉の在庫を減らしたい、というところで思い浮かぶのは、円高だ。昨今の金融危機が新聞やテレビで報じられている。そしてそれが、強烈な円高を招いている、と。円高とはドル安を示す。牛丼の主原料であるアメリカ産牛肉をドルで支払う場合、このドル安は大変ありがたい。経営者なら、このドル安の時期になるべく多くの仕入れをしておきたいところだ。現在よりも為替差額的に高い牛肉で満たされている自社の冷凍庫を空っぽにして、同じ品質の牛肉でも安価で仕入れられる今の時期の牛肉で再度自社の冷凍庫を満たせば、今後の利益は大きくなるはず。ガソリン同様、ドル安がいつまでも続くとは考えづらいし、食料品というのはいつまでも保存できるものでもない。このドル安の時期に、原材料の回転を速める意味の80円引きなのでは、と考えてしまった。
もちろんこれは私の勝手な想像で、当たっているかどうか確信は持てなし、経済というのは私などの考えられるほど単純ではないだろう。シロウトがちょっと箸を休めて考えてしまった、所詮は戯言。牛丼を食べながら世界経済に思いをはせる、というのは、やっぱ消化に良くないと思うので、ここまでにしておきたい。
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