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使いこなす・使いこなせない 中編 [カメラ]

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「使いこなす」ことが、そのカメラの持つ機能を知り、その時必要な機能・設定を取捨選択・調整し、適切に使う、ということだとすれば、使いこなせるかどうかは、カメラの機種によるのではなく、撮影者自身の努力次第だと思う。
「知る」ということは、数年前に比べれば、デジタルカメラは立派に市民権を得ていると思うし、その証拠に書店に行けば、関係雑誌や書籍を容易に見つけることができる。何も金銭を出して買わなくても、ネット上では親切に解説してくれるサイトもあるし、分からないことを気軽に聞けるところもある。近所に親しいカメラ店が無くても、身近に詳しい人がいなくても、知るということの方法はたくさんある。そして、メーカーが膨大なコストと時間をかけて作った取扱説明書や、それでも分からないことを聞ける相談窓口もある。何もしなくても自然に得られる知識ではないかもしれないが、文章を読んで自分の知識に換える努力、分からないことを他人に聞く努力、それさえあれば、コアなマニアしか得られないようなものではない。
「選択・設定する」ということは、その場の状況や目的・意図に応じて判断する部分が必要となってくるので、試行錯誤、トライアンドエラーを繰り返した経験が必要かもしれない。一般的にカメラを使う場合、一つの被写体のみを撮るわけでも、いつも同じ時間・場所で撮るわけでも、いつも同じ目的で使わないわけでもない。故に、その時の条件や目的、望む表現方法の違いに応じて選択・設定をしなければならないだろうし、それを適切に行っていくには目や耳からの知識だけでなく、失敗した経験・成功した経験、という裏付けが大切に思える。そしてそれは、誰かに与えられて得るものではないことは、自明のことと思う。
そして最後の「正しく使う」ということこそ、撮影者の努力によって得られた技術の部分だろう。移動する被写体に正確にAFフレームをトレースする、狙ったシーンを切り撮るためにシャッターチャンスに集中する、見る人に効果的に印象付ける構図を考える、といった点だ。知識も正しく、設定も間違っていないのに、最後に撮る際に、ピントが背景に抜けてしまった、手ブレしてしまった、日の丸構図になってしまった、故に満足が得られない写真になってしまった、という最後のところで結果としての満足(評価では決してない)を得られないようなら、やっぱりそれは「使いこなしていない」と言えるのではないだろうか。
さて、「使いこなす」ということについて、いろいろ考えてきたが、大筋ではそれは、撮影者の興味と努力でいかようにでもなる、と思えてならない。特殊な技能や資格が必要なものではない、一般に市販されている、一般の人が使うために製作された製品が、今店頭に並んでいるデジタルカメラだ。技量が無ければ危険なわけでも、失敗すれば多大な損害が出るわけでもない。買ってみようか、と思う気持ちはきっと、満足できる写真を撮ってみようか、と同意で、意欲がある方だと思う。興味や意欲がなければ、努力は苦痛に変わるだろうし、逆なら新たな楽しみや喜びが得られるかもしれない。確かに、人の意欲や興味なんて様々だし、時間と共に縮んでいく場合もその逆の場合もあるのだが。
「使いこなせないかも」という考えは、実は「そんなに努力しないかも」「そんなに興味が湧かない・続かないかも」ということと同義だと私は思っている。そしてそれは、本人のモチベーション次第で、いかようにでもなるということを言いたくて、長々と書き続けてきた。こうして偉そうなことを書いている私自身も、使いこなしていない部分は多々あるし、そう感じることも多い。つまりは、まだ努力不足ということになるのだろうが、結果に責任を持たなければならないプロとは違って、趣味を楽しむアマチュアカメラマンとして考えるなら、撮った画の評価より、満足という尺度で測るべきことのように思える。故に、「使いこなしているかどうか」を判断する絶対的な尺度などアマチュアには無いし、もし有るとすれば、どれだけ満足できるか、どれだけ喜びが得られたか、という部分が大切だと思ってしまう。
何の努力も無く最良の結果を得られるように、というのが、現代の工業製品の進歩の目的だとすれば、今のカメラはまだ未熟なのかもしれない。が、一方で音楽や絵画と同じ、表現の創造という側面もあり、その時にその人にしか撮れない写真という意味もある。だからこそ、趣味として成り立つのであり、奥が深くて直ぐに飽きてしまうものでもなく、多少の出費をしてでも楽しめる分野でもある、と私は感じている。「使いこなせるか」と不安がるより、興味を持ったなら、少しの勇気を出してみてはどうだろう。そしてそこで、満足や喜びを得られたなら、「使いこなしている」に着実に近づいていると、私は思うのだが。
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