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7D ファーストインプレッション その9 [カメラ]

長々と続けてきた7Dのファーストインプレッションだが、今回が最後。その他に気がついた点を列記して終わりにしたいと思う。

1D3の1010万画素に比べれば、7Dの1800万画素は、その画の大きさが圧倒的に違う。その大きさが緻密さ、綺麗さに繋がるかどうかは、僅かでもブレは勿論、使うレンズとピント精度にも左右される。そこで、前回の記事で載せた写真を見てほしい。撮っていきた画像を見ながら取捨選択し、ダメな画像を消していくのはいつもの作業だが、この写真はOKカットとして残したもの。しかし、既にお気付きの方もいるかもしれないが、この画像を拡大して見てみると、以下のようになる。
 
ファーストインプレ9-1.jpg

ピントはボールに来ていて、選手の顔にはピントが来ていないことが分かる。つまりは、ダメ画像なのだ。
撮った画像を確認・鑑賞するのは、今では殆ど液晶モニターで行うが、画像自体が大きくなればなるほど、縮小表示された画像で確認作業をすることになる。私の現在使っているモニターは1680×1050で、7Dの画は5184×3456。縦での撮影がほとんどの私の場合、モニター一杯に画を表示したとしても、長辺で1/5、面積で1/10に縮小して見ていることになる。一見するとOKカットのように見えても、微細なブレや僅かなピンズレが発見できなかったりする。もちろん等倍表示は簡単にできるので、怪しいと思えば瞬時に拡大して確認すればよいのだが、高画素によってドンドン大きくなっていくデジタル画像では、モニターでは縮小された画ばかりを見ることになるので、こんなこともある、ということだろう。
だからといって私は、高画素化に反対ではない。密度の濃い緻密な画像を見せられると、やっぱり素晴らしいと思うし、7Dの1800万画素のジャスピンの画を見慣れてしまうと、1D3の画が何となく物足りなく思えてしまう。何とも人間の欲というやつは限りが無い。ただその為には、高画素になればなるほど、AF性能に高度なものが要求されるのと、レンズ性能にもそれなりのものが要求されると思う。トリミングしても、元の画素数が大きいほど、ある程度の大きさの画に保てる(トリミング耐性と呼ばれることもある)ので、長焦点のレンズを持っていなくても、トリミングの有用性は増すかもしれない。しかしその場合でも、ピントがしっかり来ていないと、使い物にはならないだろうし、レンズに要求される性能も同様。個人的にはAPS-Cでは、このあたりが限界ではないだろうか。それとも今後、さらにブレークスルーしていくのだろうか。
その他にも7Dは、カスタマイズ性を充実させたことで、使いこなし甲斐があり、そういった点を楽しみと感じるユーザーに向けた機種なのだ、と言えると思う。こうした多機能化は、機能効果の習熟に時間や手間がかかったり、ユーザーに敷居の高さを感じさせたり、適切なアナウンスが無いと逆効果を与えたりする可能性があるが、二桁Dの想定ユーザー層よりも、さらに撮影意欲に溢れたユーザーを対象とした機種である、という証かもしれない。また、背面の液晶モニターは1D3に比べれば、日中屋外でも確実に見易く緻密になったが、それよりも私が嬉しかったのは、CFのUDMA class6に対応したこと。7Dでは画像DATA自体が1D3の倍近くの大きさになっているにもかかわらず、Sundisk Extreme Proを使って連写しても、1D3+ExtremeⅣよりもアクセスランプの消えるのが早い。両機の連続撮影枚数はかなり違うのだが、5~6連写を多用する私の場合、このCF書き込み速度の向上で、特にストレスなく7Dでサッカーを撮れる。
もちろん不満点もある。これまでもいろいろ書いてきたが、それに付け加えて、メディアをWスロットにして欲しかった点とバッテリーのリフレッシュ機能が個人的には欲しかった。Wスロットにして同時書き込みができるようにすることは、多分コストに跳ね返ってくるだろうし、充電器の放電機能を追加することもそうなるだろう。しかし7Dは一桁Dであって、従来の二桁Dの新機種ではないのだから、実売価格がもう少し上がっても、この2点は欲しかったと思う。
さて、現時点での私なりの結論を書かせていただくと、どうしても1D3との比較になってしまって、これまで厳しいことを書いてしまったようだが、この価格を考えれば、決して悪い機種ではないと思う。1D3はちょっと古くなった高級プロ機。デジタル的には現在では遅れている部分も見られるが、高価な部材を使って、コストをかけて組み上げられ、過酷な使用状況にも撮影環境の変化にも対応できる、骨太な印象。ゆえに、所有者にしか分からない使用感や安心感は今でもあると思う。対して7Dは、ミドルクラスをベースにしながら、最新の電子デバイスを駆使して、それと比較できるまでの性能を得たハイエンドアマチュア機。ゆえにリーズナブルな価格を実現することも、設定コンセプトの一つだったと思う。実際、7Dはキヤノンとしては大変力のこもった新機種だと思うし、両機の価格差を考えれば、7Dのコストパフォーマンスは凄いと思う。が、そのキヤノン自身が作ったラインナップを崩して、下剋上を告げる機種とは私は思っていない。
1D系には予算的に手が届かないが、動体撮影したい方には最適かもしれない。ただ、1D系を使った経験のある方には、7Dはちょっとヤワな感じに思えるかもしれない。時に両機は、同じような画を見せてくれるかもしれないが(画素数には相当な差があるが)、その過程には差がある。ゆえに、現在の1D系ユーザーの方に、それと7Dを置き換えることを、私的にはお勧めしにくい。サブ機として7Dを追加する、という選択は、大いにアリだと思うが、やはり現在1D系ユーザーの方は、素直に1D4を待つべきだと思う。
最後に私の場合を書かせていただくなら、以前書いたように、7Dの購入動機が、サブのKiss DXの不満からであること、そしてこの1ヶ月半の間使ってみて、私のサブ機に要求する要件の多くを7Dが満たしてくれたことで、充分満足している。確かに、1D4が出たらそれをメイン機に、今手元にある1D3をサブ機に廻す、という考えもあった。しかし7Dの1800万画素を知ってしまった今では、操作系やバッテリーの共有などのメリットを認めつつも、サブに廻した1D3の1010万画素に、いづれ不満が出そうなことを考えると、まあこの選択は悪くなかったと思っている。ただ1D3と7Dを知ってしまうと、どうしても1D4への期待は膨らむばかりだ。貯金を続けながら、今しばらくじっくり考えてみようと思っている。

(以上は、あくまでアマチュアの私が1ヶ月半使った結果の、「感じ」で書いたインプレです。参考程度に読んでください)

ファーストインプレ9-2.JPG

上の作例
7D+EF300mm F2.8 L IS  焦点距離   300mm  シャッター速度優先  任意1点指定領域拡大
F2.8   SS 1/800   ISO 160   評価測光   露出補正 ±0   AI SERVO AFⅡ  RAW
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