SSブログ

基本はハイビーム [巷の雑感]

基本はハイビーム.jpg

先日の朝、新聞を見ていると(我が家は地方紙なのだが)、地域版に上のような記事を見つけた。車のライトは「ハイビーム」が基本らしい。
車を運転する人は皆、ご存じのことと思うが、自動車のヘッドライトには下向きに照らすロービームと上向きのハイビームがある。そして夜間走行に使うこのヘッドライトは、ハイビームが基本だと伝えているのだが、どうもそれには違和感を感じてしまう。確かに、道路運送車両法では、自動車の前照灯はハイビームを夜間走行用とし、ロービームについては「すれ違い用前照灯」として装備を義務付けている。通常はハイビームで夜間走行し、他の交通の妨げになるような場合はロービームに切り替えなさい、というわけである。ちなみにこの法律が施行されたのは昭和26年である。
法律でそのように規定されているのであれば、この新聞記事が間違ったことを書いている訳ではない。ただ、私たちの日常では、ロービームを使うことが圧倒的に多く、それゆえにロービームでの走行が標準、基本として認識されているのではないだろうか。それならこの記事は、そうした間違った認識を正そうという記事、ということだろうか。
ハイビームは約100m先まで照らすことができ、ロービームは約40mとのこと。夜間走行では前方が見えやすい方が運転しやすいのは当たり前なので、できればずっとハイビームで運転したい。しかし、対向車からみればハイビームを浴びると眩しくて、極めて危険な運転状態になることは自明のこと。後ろから追従する車から、ハイビームを浴びせられながら運転することも同様。なので、付近に自車以外の車がいない場合に限って、ハイビームの使用ができる、と私は思っていたのだが、どうもそれでは「ロービームが基本」ということになってしまいそうで、法律の規定と私の認識には差異がある。もちろん、法治国家の日本では、法律の方が正しいので、私が間違っているということになり、この記事はそんな私に向けてのものかもしれない。
とまあ、ちょっと皮肉っぽく書いてしまったが、この記事の趣旨は、夜間に郊外の道路を横断中の高齢者事故の増加対策として、より早期発見しやすいハイビームの使用を啓発するのが目的、とのこと。そう考えると、確かに頷ける点もあるが、実際に運転していてハイビームを躊躇なく使える状況というのは、いったいどれほどあるのだろう。地方都市在住の私でさえ、ハイビームを最近使った記憶が無いし、大都市に居住する方なら尚更であろう。記事では、小まめに切り替えることを推薦しているが、頻繁に切り替えたり、無理にハイビームを使うことは、パッシングや嫌がらせと勘違いされたり、かえって別の事故や事件の原因になったりはしないか、そんな心配も出てくる。
自動車がごく一部の富裕層の高級品から、生活必需品に変わった現在でも、半世紀以上前にできた法律に則って自動車を運転しているのが私たち。「基本はハイビーム」と言われても、私にはイマイチ違和感が拭えない。

nice!(1)  コメント(4) 
共通テーマ:日記・雑感