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Tokyo [日々の徒然]

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今から30年ほど前、田舎で生まれ育った私が、初めてこの場所に立った時は、
もう少し違った光景だったのかもしれない。
それでもこれを見て、ああ東京に来たんだ、と実感したことは、今でも憶えている。
あの頃は、本当に何も知らない若人で、前しか見つめていなかった。
それから幾度か挫折を味わい、幾度かまたこの場に立ち、この景色を眺めたことを
憶えている。一人で生きるということを、考えさせられる場所だった。
幾年月を経て、大人の仲間入りをした私は、もう随分御無沙汰してしまったが、
それでも、希望と不安の入り混じった気持ちで見たこの東京の光景は、
いつまでも心の中に残っていた。
今また、こうして見ると、何とも東京は大きい。
実に多くの人が住み、活動し、あの頃以上にエネルギッシュだ。
年を重ね、ちょっと疲れてしまった今の私には、手に余るかもしれない。
でも大丈夫。この年月は私に分身を生んでくれた。
彼はきっと、昔の私のように、前しか見つめていないだろう。それで良いと思う。
そういう人たちがやってくる処だと思うから。
出来る限り彼が、下を向かず、前を見続けていられるように、旅立ちの準備をする
ことが、今の私の務め。
悔しくも、悲しくもない。ちょっと羨ましいだけ。
彼はこの光景を見て、何を想うのだろうか。今度は二人きりで来ようと思った。

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