翌朝の白馬、期待した天気は、やっぱり雨。前日よりも降り方が激しい。予定を変更して、安曇野の山沿いを戻り、梓川沿いを高山方面へ行くことにした。
長野はリンゴの有名な産地だけあって、このあたりも道沿いに多くのリンゴ園や即売所を見ることができる。季節柄、リンゴ狩りで賑わっているところも多い。ウチの家族が「リンゴの木って、こんなに低かった?」というので、どれどれと見ると(運転しながらのよそ見は、皆さん気をつけましょうね)、確かにどこで見ても低い木が多い。どうも採取しやすいように、木の高さを人為的に抑えているようだ。これなら収穫もしやすいのだろう。

梓川の渓谷を乗鞍方面へ登っていく。途中、「道の駅」で昼食をとった。昔はドライブインという名で民間施設が沿道沿いにたくさん見かけたが、今では少なくなってしまったようだ。それに代わって「道の駅」は、全国到る所で見られるようになり、我々ドライバーにとっては、こうした大型駐車場を完備した施設は、トイレや休憩に気軽に使えて有難い。「道の駅」といえども様々で、ホントに車を停められるだけのような魅力のないところもあるが、ここで食べた「とろろワサビそば」が美味。サッパリ風味の汁にトロトロのとろろ、それにピリッとワサビが利いていて、絶妙のコンビネーション。雨が激しく、山間で寒いときに、こうした暖かいソバは嬉しかった。

さて、乗鞍スカイラインはもう通行止めになってしまっているので、高山へ直行する。途中の渓谷は、紅葉真っ盛りで、車を走らせていると、時折ハッとする美しさを見せてくれるのだが、あいにくの天候で、満足できる写真が撮れそうにない(自信も技術もないので)。

高山には3年前にも来たことがある。到着した時は午後4時で、もう辺りは薄暗くなりかけていたが、幸い雨が上がってきた。日曜日で人出の多い、この古い街並みを散策しながら、目的のところへ。

以前来た時に食べたせんべいの味が忘れられない、という家族の声で、その店へ。

ここは注文すると、一枚一枚こうして焼いてくれる。そして焼きたてのせんべいを食べさせてくれるのだが、あつあつの食感と海苔の風味がイイ。スーパーで買う、一袋いくらのせんべいとは、やっぱり違う。


それを頬張りながら、時代を感じさせる黒塗りの壁の街並みを歩いていると、いつの間にか真っ暗になってしまった。
さて、高山を出てからは高速道路を使って、まっすぐ帰って来た。自宅に到着したのは午後8時半、総走行距離660kmの1泊2日に旅行だった。

たいして遠くに行ったわけでもなく、豪遊したわけでもなく、人に自慢できるような旅行でもないのだが、子供が親の懐にいるうちはよいが、高校3年・高校1年・小学4年の3人の子供を持つ家庭となってしまっては、いつまたこうして、家族そろって旅行に行けるか分らない。私もこうして自由になる土日が、いつまた取れるか分らない。そういった意味で、カメラや熱帯魚やPCなど、お金を出せば手に入るもの以外の、大切なものを再確認できたこの旅行は、私なりには意義があったように思う。