今日はひな祭り。七夕や節分と同じように、国民の祝日にはなっていないので、休日ではない。
大家族が珍しく無かった時代は、ひな祭りと言えばひな人形を飾って祝うのが当たり前だった。それが核家族化がすすみ、住宅事情が厳しくなると、五段飾り・七段飾りというのが難しくなって、お内裏様・お雛様だけのコンパクトなひな人形を多く見かけるようになった。そして今や少子化時代である。出生率が1.3と言われる現在、女の子のいない家庭が珍しくなく、ひな人形を飾ることなく過ぎていく家庭も増えていることだろう。
幸い我が家は女の子に恵まれて、ひな人形を飾ることができた。しかしここ数年は、出して飾るのが面倒に思えたり、忙しさにかまけて出しそびれたりして、押し入れ暮らしが続いていた。まったく不謹慎な話だ。
何年かぶりにこうして、今年は飾ってみた。さて当人は、先日高校を卒業して、進学のためにまもなく家を出る18歳。我が家で愛想を振りまいていてくれた女の子は、すっかり大きくなり、大人の一歩手前になってしまった。この子がこの家で、女の子でいられる最後の年になるかもしれない、との想いもある。
いづれは、女になり妻になり母になるだろう。その一歩を踏み出す門出に、ひな人形が相応しいのかどうか分からないが、不徳の親の仕打ちにも関わらず、おひな様はうっすら笑っていてくれるようである。

ちなみに、ウチのひな人形は、家内の母の手造りの木目込み人形だ。なんとなく温かさを感じる。