さて、私の場合、どうしているかというと、試合前のアップや他チームの試合を試写して、撮影セッティングを煮詰める。その時その時、その場その場で状況が違うので、固定観念ではなく臨機応変に対処したい。また、光線状況が大きく変わる状況下の場合、Avで撮るにしろTvで撮るにしろ、試合中のこまめな変更を繰り返している。そのため、ファインダーで被写体を追いながら、ISO・シャッター速度・絞りの関係を常に気にしなければならない。予測できない動きを、常にし続ける被写体を追いながら、シャッターチャンスを狙うのがサッカー撮影のポイントだが、その際にこういった光線状況の変化が予想される場合は、撮影情報を随時確認することも合わせて必要だろう。
ボールや選手を追うだけでも大変なのに、そんなことできない、と言われるかもしれないが、四六時中常に見ているわけではなく、時折確認する程度ならできるし、慣れれば頭の隅に置きながらの撮影は可能だ。スポーツ撮影では、シャッターチャンスをものにすることが第一だと私は思っているが、撮った後の画のことを考えるながらの撮影は、たとえスポーツ撮影でも必要なことだ。試合中、グランド上の選手は気持を張り詰めてプレーしているが、それを撮る方もスポーツ。試合終了のホイッスルが鳴るまで、集中してカメラと格闘してみよう。


ただ、そういった場合のための便利な機能もある。それは自動可変ISO機能、キヤノンでは「セイフティシフト」だ。1D3では、カスタムファンクションで設定できるのだが(C.Fn1-8)、2のする(ISO感度)にしておくと、適正露出が得られない場合、自動でISOを上げてくれる。たとえば、日中屋外・晴天での撮影で、シャッター速度優先・ISO100で撮り始めたところ、日陰でのプレーにレンズを向けた際、開放F値にしても指定されたシャッター速度が得られない場合、セイフティシフトが機能して、ISOを自動で200や250に上げて、シャッター速度を維持してくれる(前回の記事の写真がそう)。Avの場合、絞り値を固定し続けてくれるので、光量が不足すると必然的にシャッター速度を落として適正慮出を得ようとする。しかし、スポーツ撮影の場合、シャッター速度が落ちすぎるのも困る場合があるので、シャッター速度の制御範囲を指定している人も多いだろう(C.Fn1-12)。私も1/640以下にはなって欲しくないので、シャッター速度の作動範囲を指定しているのだが、それを下回りそうな場合、セイフティシフトが機能して、自動でISOを上げてくれる。もちろん、光量が充分な状態に戻れば、初期のISO値に戻ってくれるので、使ってみると実に有効な機能だと思う。必要な時にしか顔を出さない機能なので、コレを装備した機種をお使いの方には、ぜひお勧めしたい。



1枚目
CANON 1D MarkⅢ+EF400mm F5.6 L
焦点距離 400mm シャッター速度優先AE シャッター速度 1/1000 絞り F6.3 評価測光
露出補正 +1/3 ISO 400 AI SERVO AF RAW
2枚目
CANON 1D MarkⅢ+EF300mm F2.8 L IS+EF1.4xEXTENDERⅡ
焦点距離 420mm シャッター速度優先AE シャッター速度 1/1000 絞り F5.0 評価測光
露出補正 +1/3 ISO 125 AI SERVO AF RAW
3枚目
CANON 1D MarkⅢ+EF400mm F2.8 LⅡ
焦点距離 400mm シャッター速度優先AE シャッター速度 1/1000 絞り F2.8 評価測光
露出補正+2/3 ISO 160 AI SERVO AF JPEG