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追従敏感度と測距点選択特性 その6 [カメラ]

被写体追従敏感度は分かりやすかったし、効果もすぐに体験できた。今回の1D3では、動体被写体をよりロストしにくい、「面で捉える」という考え方を具現化した「測距点選択特性」という機能を追加してきた。キヤノンとしては意欲的なモデルのはずだが、使いこなすユーザー側としては、説明不足で、理解できたとして、これに頼れるかといわれると、疑問符が付くと思う。以上の点を前回はお伝えしたつもりだ。
それにしても、このマニュアルの説明だけで全てを理解するのは難しいと思う。カタログにも、領域拡大の説明は載っていても、これは載っていないところをみると、自信を持って断定的なことが書けない、キヤノンの自信のなさが表れているように思えるのは、私だけだろうか。
AFで動体被写体を追うというのは、そのモデルの基本的なAF能力(早さ&正確さ)が最重要で、後は、しっかり見て、しっかり合わせ、狙う動きを切り撮れるかは、撮影者の腕だ。1D3の基本的なAF能力は、1D2よりも確実に上がっていると私は思う。そして、被写体追従敏感度や領域拡大、測距点選択特性などの機能は、メーカーがユーザーに提案したオプション機能だ。使わなければいけないわけでもないし、使えば必ず良い結果が得られるとは限らない。ユーザーの使用状況や力量、好み、撮影状況や被写体の動きなどを考慮した上で、取捨選択すべき機能であって、それらの状況に合わない選択をした場合には、かえってマイナスの結果を生むかもしれない。だからこそ、プロ機といわれる1D系にしか、こういった使いこなしが必要な機能は、メーカーも載せてこないのだろう。初心者向けの機種では混乱してしまいそうだ。裏を返せば、動体撮影において1D3は、それだけ適応範囲が広く、ユーザーにカスタマイズできる余地を残している、「使いこなしがいのある機種」ということになろう。デジタル一眼レフが身近な存在になりつつある現在、孤高の稀有な存在であることを、垣間見させてくれるところかもしれない。
測距点選択特性について、最後にお伝えしたいことがある。最初に、キヤノンお客様相談センターに問い合わせた時、手前に入った被写体を障害物として無視します、というマニュアルの記述は、フォーカスを大きく動かさないということではないのか、それはフォーカスリミッターと同じなのでは、という問いかけをしてみた。返答は「フォーカスリミッターとは別の機能ですが、そのように考えてもらっても結構です」ということだった。何とも曖昧な回答だ。後に掘り下げて聞いてみたところで分かったことは、機械的にフォーカスの作動範囲を狭めるというものではないけど、フォーカスを大きく動かすことにはある程度の制限を与えている、ということらしい。その制限は、何メートル以上とかの数値で表せる一定のものではなく、直前の被写体の動きであったり、障害物と認識された被写体の大きさ、距離、移動速度などにより、独自のアルゴリズムがあるらしい。それ以上は教えてもらえなかったし、教えてもらっても、私の頭脳で理解できたかどうか怪しい。
さて、この測距点選択特性については、この辺りで終わりにしようと思っている。メーカーに問い合わせて、長い会話の中から得た、私なりの知識を書かせてもらったつもりだ。ひょっとすると、私の認識の一部に誤りがある可能性もゼロではないが、何かの参考になれば、幸いだと思っている。
 
下の作例
1D3+EF300mm F2.8 L IS     焦点距離 300mm
F4.0   SS 1/800   ISO 100    評価測光   露出補正 + 1/3   AI SERVO AF   JPEG


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ぴんさん

セカンドインプレッションでも良いと思いますよ
実際、最初に気にならなかったけど、その後に気になった部分だと思うので^^
一連の記事を読んでみて、メーカーのオペレーターの知識の差は気になりましたが、今はどのメーカーも同じ感じなのでしょうね
ただ一番の問題は、取り説の説明だけでどれだけの人が理解(納得)で来ているか、でしょう
電話でジュニアユースさんが聞いて、初めて細かい部分が少し見えてきた感じがします
MKⅢユーザーには有益なインプレ及び情報の記事だったと思います
流石です!!
by ぴんさん (2007-09-10 21:28) 

ジュニアユース

ぴんさん、コメントありがとうございます。

まったく勝手なことを書いている私のブログなのですが、過去の記事を探して読んでくれている方もいるようで、タイトルで内容が分りやすくするということも必要かなと思い、改訂した次第です。
セカンドインプレッションは、もう少し書くこともありますので、続けるつもりです。
今後ともよろしく。
 
by ジュニアユース (2007-09-10 22:39) 

Hobby

一連の記事、大変興味深く拝見しました。
キヤノンSSとそこまで話されていたんですね。

自分は、出来る範囲での使用ですので、確信がなく問い合わせるところまでは至っていませんでした。

「フォーカスの作動範囲を狭めるというものではないけど、フォーカスを大きく動かすことにはある程度の制限を与えている」…って、微妙な回答ですねぇ…。(笑)

「測距連続性優先」設定については、同様のことを自分も感じていましたので、少し安心した気分でもあります。
文字では上手く表せませんが、大きく動くフォーカスの移動線の周りに微妙に動く(振幅する)線があるのが「測距連続性優先」のような気がします。

…って書いても判りづらいですネ。
あらゆる場面で使ってみて、レンズとの組み合わせの違いや反応なども、自分の体で覚えてみるしか無さそうですね。

改めてJユースさんの熱意に敬意を表します。
by Hobby (2007-09-13 17:11) 

ジュニアユース

Hobbyさん、こんにちは。
キヤノンの担当者も、本当に粘り強く説明してくれた人や、通り一遍の説明しかしてくれない(できない)人や、いろいろでした。この件については、私の理解力と文章化力を総動員して書いたつもりです。それでもまだ不足な面があると思いますが、このくらいが私の限界のようです。
Hobbyさんの使用状況もそうでしょうが、動体撮影において、これらのAFの作動はコンマ1秒以下の、ごく瞬間的な動作と作用です。撮影者が考えながら操作をする余裕などは、もちろんありません。撮影後に、失敗写真を見て、ああそうだったのか、と分かるくらいでしょうか。それじゃ、意味無いんですよね。だから、

>自分の体で覚えてみるしか無さそうですね。

という意見は、まったくもって、そのとおりだと思います。瞬間を切り撮る動体撮影では、その瞬間に反応できることが必要で、「習うより慣れろ」ということかもしれませんね。

今後とも、よろしく、です。 
 
by ジュニアユース (2007-09-13 22:35)