SSブログ
少年サッカーの撮影 ブログトップ
前の5件 | 次の5件

少年サッカーの撮影 その65 [少年サッカーの撮影]

我が子、我が子の所属チームを撮っている方も多いと思いますが、何も我が子だけを撮っているわけではないと思います。そんな方々に、今回は撮った後の写真をどうするかについて書いてみたいと思います。もちろん、自分で撮った写真をどうしようとも、自由なのですが、ちょっと私の体験談を書かせていただきます。

サッカー65-1.jpg

少年サッカー65-1.jpg

息子の技術向上と親子での反省会のためにビデオ撮影を始めた私は、その真摯にボールに対する選手の表情に魅かれ、コレを形にして残したい、との想いが強くなり、写真撮影へとのめり込んでいった。銀塩からデジタルへと機材は変わっていったが、我が子だけでなくチームの選手たちを分け隔てなく撮っていた。その中でも自分が納得できる画に関しては、プリントしてその子に渡してあげたりもした。その子もその父兄も大変喜んでいただけたし、別に感謝してもらうために撮っているわけではないのだが、それでも写真を撮る励みにはなっていた。
また、撮っている写真は撮影者本人にしかなかなか分からないこと。試合中に他の父兄に混じって、目立つ望遠レンズを振り回していると、どんな写真を撮っているのか、という興味の目を向けられることも少なくない。プリントして渡してあげるということは、私はこんな写真を撮っています、という表示にもなり、昨今問題となっている盗撮まがいのものや、いかがわしい写真ではないということを、他の保護者やチーム関係者に対してアピールすることにもつながる。私はそういった両方向での目的で、撮った写真の一部ではあるが、プリントして配っていた。
しかしそれを続けていると、チームメイトの保護者から、お中元やお歳暮が届くようになった。いつもウチの子の写真を撮っていただいているから、という理由で。もちろん断ったのだが、聞いてみるとそんな写真のお礼の話がチーム内に広まっているという。アノ子がコレくらいのものを送ったのなら、ウチの子はもっと撮ってもらっているから、もう少し出さないと、とか。これはマズイことになったと思った。一つのチームで選手は平等。そしてそれをサポートする保護者も、皆平等にならなければおかしなことになる。私は別に、悪いことをしているという意識はなかったのだが、そうであっても相手に負担を覚えさせるようなことは、大人がすべきことではない、と判断した。

少年サッカー65-2.jpg

少年サッカー65-3.jpg

考えた末に私が出した結論は、実費だけ負担してください、というもの。チームの選手を平等に撮るといっても、試合出場の機会が平等ではない以上、撮影枚数の差は出る。また保護者によっては、我が子の写真をたくさん欲しい人も、そうでない場合もある。それで、半年間なり一年間なりのスパンで、撮った写真を一覧表示したファイルを作って見てもらい、欲しい写真があれば実費負担でお渡しします、というやり方に変えた。これならば、たくさん写っている子、たくさん写真が欲しい人はそれなりの、そうでない人は少ない負担で済む。自分のプリンターで印刷するとコストが分かりにくいので、カメラ店のデジカメプリントを使用し、印刷にかかるコストを明確にする。写真販売となると商売になってしまうが、儲けは一切取っていません、ということを明確にすることを心掛けた。そしてチーム全員にしっかりこの方法を説明した上で実施すると、写真を撮る方も撮られる側も、変な配慮無くできるようになり、今も続けている。
ただこの方法、やるとなるとなかなか大変な作業で、自分で撮って気ままにプリントするのとはちょっと違う。一年間で一万枚以上の写真の中から、その子が欲しがる写真、カッコよく写っている写真、記念となるような写真を抽出する作業がまず大変。選び出した写真を、レタッチしたりトリミングしたりして、プリントした際に見栄え良くする作業も結構面倒。そうした数百枚の写真の一覧ファイルを作るのも、意外とコストが掛かったりする。そしてそれを毎年続けるとなると、よく撮れた時だけ渡すのとは違い、成果を期待されたり、失敗できないプレッシャーを感じたり、気ままな撮影とはいかなくなることもある。
○×さんがウチの子と同じチームだったから、こんなにもたくさんの成長の証となる写真得られた、などとお世辞混じりの言葉をかけていただければ、私としては充分冥利に尽きる。利害関係の無い子供たちの世界だから、アマチュアで趣味だから、撮る方も後ろめたくなく、撮られる方も気兼ねなく、が良いと思う。

少年サッカー65-6.jpg

少年サッカー65-4.jpg

少年サッカー65-5.jpg


2枚目
CANON 1D MarkⅢ+EF300mm F2.8 L IS+EF1.4xEXTENDERⅡ
焦点距離 420mm シャッター速度優先AE シャッター速度 1/800 絞り F5.6 評価測光
露出補正 +2/3  ISO 160  AI SERVO AF  RAW
3枚目
CANON 1D MarkⅢ+EF400mm F5.6 L
焦点距離 400mm シャッター速度優先AE シャッター速度 1/800 絞り F6.3 評価測光
露出補正 +1/3  ISO 500  AI SERVO AF  RAW
4枚目
CANON 1D MarkⅢ+EF300mm F2.8 L IS+EF1.4xEXTENDERⅡ
焦点距離 420mm 絞り優先AE シャッター速度 1/640 絞り F4.5 評価測光
露出補正 +2/3  ISO 100  AI SERVO AF  RAW
5枚目
CANON 1D MarkⅢ+EF400mm F2.8 L IS
焦点距離 400mm シャッター速度優先AE シャッター速度 1/1000 絞り F2.8 評価測光
露出補正 +1/3  ISO 160  AI SERVO AF  RAW
6枚目
CANON 1D MarkⅢ+EF100-400mm F4.5-5.6 L IS
焦点距離 400mm 絞り優先AE シャッター速度 1/1600 絞り F5.6 評価測光
露出補正 +2/3  ISO 500  AI SERVO AF  RAW
7枚目
CANON 1D MarkⅢ+EF300mm F2.8 L IS+EF1.4xEXTENDERⅡ
焦点距離 420mm シャッター速度優先AE シャッター速度 1/640 絞り F4.5 評価測光
露出補正 +2/3  ISO 250  AI SERVO AF  RAW

nice!(1)  コメント(21) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

少年サッカーの撮影 その64 [少年サッカーの撮影]

少年サッカー64-1.jpg

初心者の方にサッカー撮影についてのことを聞かれる際に感じるのは、数値的な目標、表面的な決まり事のようなものを欲しがる傾向にある。しかしそんなものは、本当にあるのだろうか。シャッター速度も絞り値も、写真を撮る上で多くのパラメーターの内のごく一部でしかない。それを聞いて同じようにしたところで、同じ画が撮れるわけでも、失敗しないわけでもない。そういった表面的な数値などに、実は普遍的なものは何も無く、もっと重視すべき点は他にあったりする。でも、初心者の方々は、そういった点を気にしがちだ。木を見て森を見ず、では意味は無かろうと思うのだが。
こんな偉そうな事を言っている私も、数年前は初心者。最初からベテランでも熟練者でもない。努力しないと上達しないことは分かっているけど、やっぱり横道や回り道を避けて、最短距離を進みたいと思うのが人の常。ただ、その最終目標が数値で表せるようなはっきりしたものなら良いかもしれないが、素晴らしい写真を撮る、満足できる写真を撮る、という人それぞれで評価の異なる目標だと、なかなか最短距離の道を探すことは難しい。仕事として写真を撮る場合は別として、趣味として楽しむのなら、多少の失敗や回り道は成功の元として、割り切れる余裕は欲しい、というのは逃げ口上に聞こえるだろうか。でも今ベテランと言われる方々も、きっとそんな経験を重ねてきたと思う。

少年サッカー64-2.jpg

ただ、物には順番と言うものはあるかもしれない。被写体ブレ・手ブレ・ピンズレ、これらをしっかり見分けられるようにならないと、失敗の原因を掴めない。動き回るサッカー選手を、しっかり止めて撮ることができない人に、躍動感が出るブレた写真を撮ることは無理だ。被写界深度内に被写体が入っていればOKという人に、ボケを生かした写真を撮ることはできない。

「不規則に動き回るサッカー選手を、しっかりブラさず止めて、狙った選手にビシッとピントの合った写真を撮ることから始めてください。ブラす、とか、ボカす、とか、構図がどうの、というのは、その次です。」

私は今も、初心者の方にはこれを言い続けている。偉そうなことを言っている私も、これができるようになるまで、かなりの時間を要したから。

少年サッカー64-3.jpg

現在のデジタル一眼レフカメラには、シャッターボタンしか無い、ということはなく、多くの選択ができるようなボタンやスイッチが並んでいる。だから敷居の高いもの、難解な製品という印象を初心者の方に与えてしまっている。しかしそれらのボタンやスイッチは、撮影者の表現力や創意工夫を実現するために必要なもの。僅かな時間で全て理解し、手足のごとく使いこなせるような底の浅い分野ではないかもしれない。でも少し興味を覚え、安くなったとはいえ、未だ高価な部類に入るカメラやレンズを手にしたのなら、じっくり付き合ってみると、当初は予想しなかった驚きや喜びが得られるかもしれない。貴方が噛んでマズイと思うかウマイと思うか分からないが、噛んで、じっくり噛んでみないと分からないこともある。
ベテランの方々には退屈な話だったかもしれないが、今回は初心者の方へのメッセージとして書かせていただいた。ある程度、知識や経験が身に付いてくると面白くもなってくると思うのですが、現実には初心者から経験初歩の段階までで挫折してしまう人が多いように思える。やみくもに進んで、先が見えないと不安にもなるし、意欲も萎える。そんな方々に、ちょっと先まで、を感じてもらえればと思い、これまで書き続けてきた。これから先も私の考え・私の経験したことを基に、サッカー撮影に関する私見を、このブログで続けていこうと思っている。

少年サッカー64-4.jpg

少年サッカー64-5.jpg

少年サッカー64-6.jpg


1枚目
CANON 1D MarkⅢ+EF300mm F2.8 L IS
焦点距離 300mm 絞り優先AE シャッター速度 1/800 絞り F4.0 評価測光
露出補正 +1/3  ISO 100  AI SERVO AF  RAW
2枚目
CANON 1D MarkⅢ+EF400mm F2.8 L IS
焦点距離 400mm シャッター速度優先AE シャッター速度 1/1000 絞り F4.5 評価測光
露出補正 +2/3  ISO 160  AI SERVO AF  RAW
3枚目
CANON 1D MarkⅢ+EF300mm F2.8 L IS
焦点距離 300mm 絞り優先AE シャッター速度 1/50 絞り F2.8 評価測光
露出補正 +1/3  ISO 1600  AI SERVO AF  RAW
4枚目
CANON 1D MarkⅢ+EF300mm F2.8 L IS+EF1.4xEXTENDERⅡ
焦点距離 420mm 絞り優先AE シャッター速度 1/1250 絞り F4.5 評価測光
露出補正 +2/3  ISO 100  AI SERVO AF  RAW
5枚目
CANON 1D MarkⅢ+EF300mm F2.8 L IS
焦点距離 300mm シャッター速度優先AE シャッター速度 1/640 絞り F3.5 評価測光
露出補正 +2/3  ISO 100  AI SERVO AF  RAW
6枚目
CANON 1D MarkⅢ+EF400mm F2.8 L IS
焦点距離 400mm シャッター速度優先AE シャッター速度 1/1000 絞り F3.5 評価測光
露出補正 +1/3  ISO 125  AI SERVO AF  RAW

nice!(0)  コメント(3) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

少年サッカーの撮影 その63 [少年サッカーの撮影]

少年サッカー63-1.jpg

以前、ある父兄の方とサッカー撮影について話していた時、「親指AFって、当然使われているんでしょ?」と聞かれたので、いえ使っていません、と答えると、一瞬怪訝そうな表情の後で、「それでもあんな画が撮れるんですね」と言われたことがある。またそれより前に、「サッカーなどのスポーツ撮影では、シャッター速度優先モードで撮るのが当然ですよね」と言われたことも。「初心者がサッカーを撮る時は、ピント合わせが難しいから、なるべく絞って撮る方が良い。今のデジカメは高感度が使えて、それで絞れるから適している、って言われたんですが、そうですよね」と言われたことも。ネット上の書き込みなどでは、「動き物を撮る際には、被写体をブラさないと躍動感が出ないから、シャッター速度をあまり上げない方が良い」という記述もよく見かける。「一瞬先が予測できないスポーツ撮影では、デジタルの特性を生かして、ドンドン連写で撮るべきだ。そうすれば後で、このシーンを撮っておいて良かった、とか、思わぬ掘り出し物のような画が見つかる場合があるから」と説く方もいる。「背景の輝度の高いものに引っ張られないスポット測光が良い」、「いや光線状況が一定な場合はマニュアル設定が良い」、という議論も聞いたことがある。さてどうだろうか。ベテランの方々は、これらに対する回答は既に胸にお持ちのことと思うのだが、どれも正解のようで、そうでないようで。

少年サッカー63-2.jpg

日本人はHow to 本とランキングが好きな国民だ、というのをどこかで聞いたことがあるが、初心者の方にサッカー撮影についてのことを聞かれる際に感じるのは、失敗しない最低限の方法、コレだけはしてはいけない、コレだけは守らないといけない、という表面的な決まり事のようなものを欲しがる傾向にある。しかしそんなものは、本当に有るのだろうか。またもし有ったとしても、失敗と成功が紙一重だったり、時と場合によって善悪が逆転したり、志向や評価の違いで副作用が出たり。
写真展やネット上で素晴らしい写真を発見すると、どういった機材で、どういった設定で撮っているのか、気になったりする。僭越ながら私もこのブログに写真を掲載するときは、できるだけ撮影データを載せるようにしている。それは確かに、その写真を撮るために撮影者が工夫した創意の一端であることは間違いない。しかしそれは、「一端」であって「方法の一部」である。それを「目的」にすべきではない。

少年サッカー63-3.jpg

一眼レフカメラでの写真撮影は、シャッター速度・絞り・ISO感度・測光方法・焦点距離などのカメラ内部の要因を、光線方向・光量・被写体の動きなどの外的要因を考慮して、撮影者自らが求める最良の画を得るために、組み合わしながら撮るもの。そういった任意性ゆえに撮影者の表現力が反映でき、「作品」というものも生まれる。逆に言えば、方法論が確立されて、画一されているのであれば、誰が撮っても同じような結果が得られ、芸術でも作品でもなく、製品になる。撮影者の技術や意図や表現力が発揮させられるような分野だからこそ、個展等の発表会があり、コンテストがあり、難しくも奥深く、工夫のし甲斐があって達成感もある、そんなところに楽しみを感じられる分野なのだと思う。

「シャッター速度は1/500以上は必要ですよね?」
「いえ、私は1/160で撮ることも1/1000で撮ることもあります」
「シャッター速度優先(Tv)で撮ってますよね?」
「いえ、TvでもAv(絞り優先)でも撮りますよ」
「中央のAFフレームを使ってますよね」
「いえ、中央を使うこともそれ以外を使うこともあります」
「じゃあ、いったいどうすればいいんだ! 教えてくれないのか!」

言い訳をするつもりは無いのだが、このブログで書き続けてきたサッカー撮影について、私は嘘偽りを書いているつもりは無いが、それは私の考えや方法論であって、唯一無二のものとは思っていない。他の方法で素晴らしい作品を撮られている方も多い。ここで私が書いているのは、サッカーというスポーツを撮る事の面白さと、その際に咀嚼(そしゃく)するべき点、理解し味わうべき点、だ。まずければ吐き出せばいいし、美味ければ味わえばよい。

少年サッカー63-4.jpg

少年サッカー63-5.jpg

少年サッカー63-6.jpg


1枚目
CANON 1D MarkⅢ+EF400mm F2.8 L IS
焦点距離 400mm シャッター速度優先AE シャッター速度 1/640 絞り F4.0 評価測光
露出補正 +2/3  ISO 100  AI SERVO AF  RAW
2枚目
CANON 1D MarkⅢ+EF400mm F2.8 L IS
焦点距離 400mm シャッター速度優先AE シャッター速度 1/1000 絞り F4.0 評価測光
露出補正 +2/3  ISO 160  AI SERVO AF  RAW
3枚目
CANON 1D MarkⅢ+EF300mm F2.8 L IS+EF1.4xEXTENDERⅡ
焦点距離 420mm 絞り優先AE シャッター速度 1/1000 絞り F4.5 評価測光
露出補正 +2/3  ISO 100  AI SERVO AF  RAW
4枚目
CANON 1D MarkⅢ+EF300mm F2.8 L IS+EF1.4xEXTENDERⅡ
焦点距離 420mm 絞り優先AE シャッター速度 1/1000 絞り F5.0 評価測光
露出補正 +1/3  ISO 100  AI SERVO AF  RAW
5枚目
CANON 1D MarkⅢ+EF300mm F2.8 L IS
焦点距離 300mm シャッター速度優先AE シャッター速度 1/1000 絞り F4.5 評価測光
露出補正 +2/3  ISO 100  AI SERVO AF  RAW
6枚目
CANON 1D MarkⅢ+EF300mm F2.8 L IS+EF1.4xEXTENDERⅡ
焦点距離 420mm 絞り優先AE シャッター速度 1/640 絞り F5.6 評価測光
露出補正 +2/3  ISO 100  AI SERVO AF  RAW

nice!(0)  コメント(7) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

少年サッカーの撮影 その62 [少年サッカーの撮影]

少年サッカー62-1.jpg

以前、ある雑誌のフォトコンテストで入選したときに、選者のプロカメラマンの方から次のようなコメントを頂いた。
「大変素晴らしい作品ですが、トリミングしないで、このような画を撮れるよう頑張ってください」
それ以後私は、トリミングが必要で無いように撮ることを心がけている。
銀塩時代からトリミングというものは有ったのだが、デジタルになって、パソコンで自在に、しかも簡単に、誰でもできるようになった。そしてデジタルカメラの高画素化。以前の600万画素クラスでは、トリミングすると構成画素数が減って、画が荒くなったり大判プリントに向かなかったりしたが、今日の高画素機ではそういった欠点もかなり緩和された。そうなると、わざわざ高価な望遠レンズを買わなくても、後でトリミングすれば同じような画が撮れるのではないか、という考えが出るのは自然。某掲示板などでも、「トリミングで対処すれば」というアドバイスを多く見かける。さて、どうだろう。
仮の話で恐縮なのだが、ちょっとお付き合いいただきたい。もし貴方が少年サッカーを撮りに行って、「その日に撮れた写真のなかで、一番良いと思われる写真を応募してください。優勝者には商品を差し上げます。ただし、トリミングは一切してはいけません」というコンテストが有ったとする。さて貴方は、どう撮るだろうか。

少年サッカー62-2.jpg

トリミングという後処理ができない。それなら最初から、構図や画面構成を考えながら撮らなければいけない。狙った選手を画面の中でどこに置くか、ボールの位置は、と動き回る被写体を追いながら、求める画を考えなければならない。後でトリミングして被写体を左右に寄せる、という手は使えないのだ。トリミングができない以上、主題をはっきりさせるに、小さく撮る訳にはいかない。許される範囲で被写体に近づき、必要に応じて撮影者自身が移動しながらの撮影になるだろう。ズームレンズを使っていたなら、ある程度の融通性はあるだろうが、単焦点レンズなら、自分が動かない限り、思ったような画角は得られない。ましてや、68m×105mの広いグランド内を、前後左右自在に動く選手とボールが相手だ。一箇所で待ち構えていたのでは、シャッターチャンスは極端に少なくなるし、撮影枚数も少なくなるだろう。画像の傾きを後でトリミングで修正する、という手も使えない。地面に対して水平に撮るときも、意図して傾けて撮る場合も、手持ちで撮影しようが、一脚を使おうが、常に水平を意識しつつ撮影に集中しなければならない。
こう考えてみると、これらのことは、このブログで私がずっと書いてきたこと。サッカーというスポーツを撮る上で、大切だと思える点で、撮影者が常に留意しなければならないこと。更に言えば、これらのことを「後でトリミングすればいい」という甘い考えで、自分に妥協してはいないだろうか。それでは、満足できる画への上達は遠くなると思う。トリミングの善し悪しを言っているのではない。とりあえず撮っておいて、後でトリミングすればいい、という考えが、サッカー撮影にあたって、自分に対する甘えや言い訳になってはいないだろうか。

少年サッカー62-3.jpg

私もトリミングはするし、その有用性に助けられたことは多い。しかし、こと撮影時にトリミングを前提に撮ることは、まったくしないし、お勧めもしない。自らの体力、技量、機材を駆使して、できる限りトリミングしないで撮るように、常に心がけることは重要なことだと思う。トリミングは、家に帰ってからどうしても、という時だけの助け舟。それを当てにして撮影に臨んでは、言い訳にはなっても、良い画は撮れない。

少年サッカー62-4.jpg

少年サッカー62-5.jpg


今回の5枚は全てノートリミング
1枚目
CANON 1D MarkⅢ+EF300mm F2.8 L IS
焦点距離 300mm シャッター速度優先AE シャッター速度 1/800 絞り F3.2 評価測光
露出補正 +2/3  ISO 100  AI SERVO AF  RAW
2枚目
CANON 1D MarkⅢ+EF400mm F2.8 L IS
焦点距離 400mm シャッター速度優先AE シャッター速度 1/1000 絞り F2.8 評価測光
露出補正 +2/3  ISO 1250  AI SERVO AF  RAW
3枚目
CANON 1D MarkⅢ+EF300mm F2.8 L IS+EF1.4xEXTENDERⅡ
焦点距離 420mm 絞り優先AE シャッター速度 1/1250 絞り F4.5 評価測光
露出補正 +1/3  ISO 250  AI SERVO AF  RAW
4枚目
CANON 1D MarkⅢ+EF300mm F2.8 L IS+EF1.4xEXTENDERⅡ
焦点距離 420mm 絞り優先AE シャッター速度 1/640 絞り F4.5 評価測光
露出補正 +1/3  ISO 100  AI SERVO AF  RAW
5枚目
CANON 1D MarkⅢ+EF400mm F2.8 L IS
焦点距離 400mm シャッター速度優先AE シャッター速度 1/1000 絞り F3.2 評価測光
露出補正 +2/3  ISO 200  AI SERVO AF  RAW

nice!(0)  コメント(9) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

少年サッカーの撮影 その61 [少年サッカーの撮影]

少年サッカー61-1.jpg

ボールを追っていては、なかなか上手く撮れない。それはなぜか。貴方が撮ろうとしているのが、ボールではなく、選手だからだ。
狙った選手がボールを永く保持していてくれる場合は、ボール=選手になる。相手選手からボールを取られまいとキープしている時、ドリブルの時などだ。しかし、そうではなく、ボールを受ける瞬間、ボールを受けても直ぐに蹴ってしまうダイレクトプレー、ディフェンスの選手によく見られるクリアーやゴールキーパーのセーブシーンなど、選手がボールを保持している時間が短い場合は、ボールを追っていては、そうしたプレイは撮れない。また、こうしたプレイが年代が上がるごとに多くなることを考えると(選手自身の判断速度が上がり、フィールド内でのボールスピードが上がると)、小学生サッカーでは撮れていたのに、中学生以上になるととたんに撮るのが難しくなったりする。また、ボールに触る中心選手やMFは撮れても、瞬間的な動きをするFWなどは撮り難く、一試合撮っても撮影枚数の差がかなり出たりする。
AFで撮る場合、レンズを振って、狙った選手をAFフレームで捉えて、シャッター半押しでAF駆動させ(親指AFの場合は親指を押して)、ここぞと言う時にシャッターを切る又は連写する、というのが一連の動作だが、ボールを追っていると、ピントが合った瞬間には、もうその選手からボールは離れている場合が多い。人間(撮影者)の判断速度や反射神経、カメラのシャッタータイムラグもある。ボールを追っていては、決定的な瞬間は撮れない。このことを、AF性能が悪い、レンズやボディをもっと高級機に変えればよい、とか考えてはいけない。キヤノン機では現在最速と思われる1D3とサンニッパ、ヨンニッパの組み合わせでも、こうしたボールを追っているような撮り方では無理だ。

少年サッカー61-2.jpg

ではどうすればよいのか。ボールの動きを予想して先回りして構える事。たとえば、高く上がったゴールキックを頭で競り合うシーンを撮ることを想定してみよう。ゴールキーパーが蹴った瞬間、そのボールの弾道を読み、フィールドの22人のなかで誰がそのボールを競るか、瞬時に予想する。そしてその選手にレンズを振り(ここまではファインダーを見ないかファインダーを覗いていない方の眼で確認)、ボールが落ちてくる前にその選手をAFフレームで捉える。ピントが来たと思ったら、間髪を入れずシャッターを切る、または連写(ピントが来ていることを確認したうえでの連写でないと、ピンボケの量産になるので注意)。これが私の一連の動作だ。つまりは、ボールが行きつく先を予想して、そこにAFでピントを既に持ってきていないといけない。もちろん、失敗もあるだろう。最初から上手くできないこともあるだろう。でも、ボールを追いながらも、ボールの先回りができないと、望む画は得られない。

少年サッカー61-3.jpg

貴方が狙うのは、ボールを蹴った後の選手ではないだろう。蹴る瞬間、蹴る一瞬前、ボールに触ろうとする瞬間、そういった画が欲しいのではないだろうか。どんなに高価な機材を使っても、ボールをファインダーで追っていては撮れない。広いグランド内で、ボールを追ってそれに絡む選手を撮る。でも狙うのはボールではなく、その先の選手。狙いを定めるためにボールを追い、予想して、先回りする。競技を知り、チームを理解し、試合展開を肌で感じ、選手の動きを予想して撮影するのがフィールドスポーツ撮影だと思う。
ボールを追うのだが、ボールを追っては撮れない。サッカー撮影は、何とも集中力の要るスポーツだ。

少年サッカー61-4.jpg

少年サッカー61-5.jpg


1枚目
CANON 1D MarkⅢ+EF100-400mm F4.5-5.6 L IS
焦点距離 400mm シャッター速度優先AE シャッター速度 1/800 絞り F5.6 評価測光
露出補正 +2/3  ISO 200  AI SERVO AF  RAW
2枚目
CANON 1D MarkⅢ+EF300mm F2.8 L IS
焦点距離 300mm シャッター速度優先AE シャッター速度 1/800 絞り F5.0 評価測光
露出補正 +1/3  ISO 100  AI SERVO AF  RAW
3枚目
CANON 1D MarkⅢ+EF400mm F2.8 L IS
焦点距離 400mm シャッター速度優先AE シャッター速度 1/1000 絞り F2.8 評価測光
露出補正 +1  ISO 160  AI SERVO AF  RAW
4枚目
CANON 1D MarkⅢ+EF400mm F2.8 L IS
焦点距離 400mm シャッター速度優先AE シャッター速度 1/1000 絞り F3.5 評価測光
露出補正 +1/3  ISO 160  AI SERVO AF  RAW
5枚目
CANON 1D MarkⅢ+EF400mm F2.8 L IS
焦点距離 400mm 絞り優先AE シャッター速度 1/800 絞り F3.5 評価測光
露出補正 +1  ISO 100  AI SERVO AF  RAW

nice!(0)  コメント(13) 
共通テーマ:趣味・カルチャー
前の5件 | 次の5件 少年サッカーの撮影 ブログトップ