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紙媒体 その1 [巷の雑感]


 
10年ほど前、まだ私がインターネットに手を出していなかったころ、友人から勧められた。インターネットをやるメリットは何だ、という問いに対して、友人は「何でも調べられる、最新の情報が得られる、手間がかからす、いつでも早い」ということを言っていた。私は、そんなことなら、新聞や雑誌、本、時刻表、電話帳、地図などがあるから必要ない。ネットをする経費を考えれば、こっちの方が安い、と反論していたことを思い出す。それが今では、何か知ろうと思うと、まずはキーボードを叩く生活になってしまった。
10年前に比べれば、ネット上の情報量もコンテンツも膨大な数に膨れ上がり、その利便性も加速度的に向上したと思う。検索の容易さ、動画の普及も加わり、何か知ろう、情報を得ようというという際には、現在ではネットが一番有意な方法なのかもしれない。しかしそれでも、新聞や雑誌などの紙媒体はなくならないし、私自身もネットにかける費用と同様の額を、紙媒体に毎月つぎ込んでいる。
保存ということを考えても、PC内に保存することは、今最も省スペース・省費用な方法で、必要な時に、必要な部分だけを紙に印刷すればよいのだから、環境にもやさしい。毎月破棄する新聞や広告、雑誌の量を考えると、これからの時代は、情報はモニターから得られるのが当たり前になるかもしれない。
それでも毎朝、我が家には新聞が配られ、私も毎朝読む。いや、読むというより眼を通すと言った方がよいか。新聞に書かれている情報を、端から端まで読んでいるのではなく、ザッと一面を見て、気になった部分、いつも読んでいる部分を注視して読んでいる自分に気づく。紙媒体の場合は、この「ザッと見る」という点で便利だ。広く浅く情報を得る、また今一般的に注目されている情報を得る、という点においては、新聞やそれぞれ特色のある雑誌は、ネットより優位だと思う。
紙媒体はそこに書かれている情報以上のものは得られない。ネットでは、興味を持った情報に対し、より深く突っ込んだ検索を容易にかけられるので、深く情報を得られるメリットがある。自分が主体的に調べるという点では、ネットの方が優位だが、多くの情報から編集者が抜き出したものを印字した紙媒体は、読者が興味を引きそうな情報を、予め選んでくれているので、客観的に話題になっている情報を得やすい、というメリットもあると思う。そしてそれが、未だに紙媒体が廃れない一因の一つかもしれないと思っている。
読めばゴミになってしまう新聞・雑誌、後でまた読もうと本棚にしまってある小説、そんな有形の紙媒体にお金をつぎ込むほうが、ネットから簡単に得られる情報より、何だか無駄をしていないような錯覚は、今はもう時代遅れなのだろうが、中年世代の私にはまだ色濃くの残っている。それももう10年も経てば、昔話になってしまうのかもしれないが。


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