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7D ファーストインプレッション その4 [カメラ]

このゾーンAFだが、実際使ってみると、何も高度な動きをする動体撮影でなくても、スナップ的な撮影で重宝する場合が多いことに気付く。一般的には、ピントがシビアな写真ばかりを撮る訳ではないと思う。長焦点の望遠レンズを使った撮影、またはマクロ的近距離撮影では、一つのフレームの違いでピント位置が大きく変わることが有るが、標準的な距離の撮影では、「あの右側の花にピントを合わせたい、ピントは花弁の何枚目といったシビアなものではない、でも背景にピントが抜けてしまうのは困る」といった撮り方が多いのではないか。言葉は悪いが、多少アバウトな、日常よく使う気軽な撮影に、このゾーンAFはなかなか使えると思う。全点自動選択AFでの意図しないところにピントが行ってしまう可能性、1点指定AFでのピント合わせの神経質さ、これらによる失敗の可能性を、有る程度の大きさの「面」で狙うことで、下げてくれるのではないかと思う。
ここで一つの疑問。このゾーンAFと領域拡大した1点指定AFとの違いはどこにあるのだろう。事実上、4~9個のAFフレームを作動させて狙った被写体を捉えに行くことには変わりない。これについて、メーカーのキヤノンお客様相談室にメールにて問い合わせてみると、以下のような回答を得た。

「1点AF(任意選択)」での「領域拡大AF(任意選択)」では、被写体が任意選択した
AFフレームを外れた場合に、上下左右のAFフレームがピント合わせをアシストします。

「ゾーンAF(ゾーン任意選択)」では、選択したゾーン内の全AFフレームが、
自動にAFフレームを選択してピント合わせを行います。
1点AFや、領域拡大AFよりもピントが合いやすくなり、動きのある被写体にも有効です。

まあ、マニュアル通りの解答なのだが、私は次のように解釈している。AI SERVO AFで動体撮影する場合、ゾーンAFは、指定した複数の作動AFフレームうち、どれでもいいから被写体を捉えようとし、捉えればヨシとするが、1点指定領域拡大AFは、指定した1点のAFフレームでまず狙った被写体を捉えなければならない。その後にそのフレームを外しても、隣り合ったフレームがアシストして逃がさないように作動する。前者は、動体に対しては捕捉しやすいが、作動AFフレームの「主従」の関係はなく、撮影者の意図しないところを捕捉する危険性は、場合によっては有る。後者はあくまでAFフレーム1点で狙った被写体にピントを合わせに行き(そこで狙う動体にしっかり合焦させないと意味がなくなる)、それゆえ狙う被写体が小さい場合、動きが俊敏な場合は、最初に合焦させることが難しい場合があるが、一度合焦させてしまうと、その後にロストしそうになっても、隣接するフレームが「従」の役目を担ってくれる(実際には、主フレームがロストしてから従フレームが作動するのではなく、主フレームが被写体を捉え続けていても、従フレームは作動し監視しているらしい)。ちなみに、1D3の領域拡大は、左右一領域アシストと周囲一領域アシストが選べるが、7Dでは概して周囲になる。
では実際にサッカーを撮るとして、どちらが良いのだろう。両方試してみたのだが、ゾーンAFでも何ら問題なく撮れる場合がある。ただ限定したとはいえ、自動選択であることには変わりないので、撮影者の狙った所にピントが来ない場合も当然ある。下の写真(ノートリミング)はそんな一例。

ファーストインプレ4-1.jpg
上の作例
7D+EF400mm F2.8 L IS  焦点距離   400mm  シャッター速度優先 ゾーンAF
F4.0   SS 1/1000   ISO 100   評価測光   露出補正 -1/3   AI SERVO AFⅡ  RAW

これはフリーキックに備えるゴールキーパーのシーンだが、縦位置で上部を指定したゾーンAFでは、シャッター半押しを何度も繰り返しても、なかなかゴールキーパーにピントが来なかった。手前の選手に来たり、後ろのネットに来たり。そうこうしている間に、フリーキックは蹴られ、大事なシーンを撮り逃してしまった。このように背景がうるさかったり、選手と選手が入り乱れるようなシーンでは、せっかくのチャンスに狙った所にピントが来ないと、一瞬を切り撮るというスポーツ撮影では、失敗した場合のダメージが大きいように感じる。
もう一例(これもノートリミング)。
ファーストインプレ4-2.jpg
上の作例
7D+EF400mm F2.8 L IS  焦点距離   400mm  シャッター速度優先 ゾーンAF
F3.5   SS 1/1000   ISO 100   評価測光   露出補正 -1/3   AI SERVO AFⅡ  RAW

普通に撮れているようだが、DPPにて50%表示して、AFフレームを表示させたのが下の写真。

ファーストインプレ4-3.jpg
狙ったの青いユニフォームの選手だが、肩口にピントが来ていて、顔は微妙にピントがズレているのが分かっていただけるだろうか。これも同じく、縦位置で上部のゾーンを使って撮ったものだが、このゾーンの4個のAFフレームのうち、別のフレームが作動していれば、もしかすると顔にジャスピンが撮れたかもしれない(もちろん、それでも撮れなかったかもしれないが)。
これらはごく一部の悪い例で、撮った写真の多くはきちんと撮れる。ただ、失敗の原因を追及する段階で、自分の腕の無さが原因なら、あきらめも対策もできるが、「ゾーンAFのせい」ということだと、何とも後味が悪かったりする。なので、今のところ私的には、サッカー撮影に関しては、やっぱり従来通りの設定(1点指定で領域拡大)が好ましいように思う。もちろん、先にも言ったように、ゾーンAFを否定するつもりはなく、日常の撮影では、ONE SHOT AFで1点でフォーカスロックしてから構図を整え直す、ということをしなくてよいケースなどがあって、私などは便利に感じる場合も多く、多点フレームを持つ機種には、技術的にそれほど困難とは思えないので、今後採用されていくかもしれない。
捕捉しにくい動体に対して、先ごろ発表された1D4ではこのゾーンAFではなく、領域拡大の拡大幅の選択という別のアプローチを採用した。両機のコンセプト、想定されるユーザー層の違いからかもしれないが、その理由はこんな感じで考えていくと、何となくわかるような気もする。

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