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7D ファーストインプレッション その7 [カメラ]

前回、「条件が良ければ7Dは、1D3と比べて遜色ないAF性能だと、今のところ思っている」と書いた。ではこの、条件が良い、というのは、どういった場合か、現在の私見を書いてみたいと思う。
中央のAFフレームを1点指定して使い、F2.8の単焦点レンズを使って、光量豊富でその変化が少ない撮影状況。これが私の言う、条件が良い、という場合だ。そして7Dは、こうした上記の条件が悪化するにつれ、撮影結果の落ち方が、1D3よりも大きいかな、と思える。
まず、7Dの中央1点のAFフレームの性能には、私はあまり不満が無いのだが、それ以外の測距ポイントについては、1D3の方がはっきり上だと言える。私はサッカー撮影に際しては、中央のフレームをあまり使わないのだが、そういった使い方では、1D3の方が7Dよりも信頼できる。7Dの中央以外のAFフレームでは、僅かに光量が落ちるだけで、合焦速度が落ちたり、迷ったりすることを何度か経験したし、動体追従性能でも歩留まりの悪さをみせてくれる。
開放F値がF2.8クラスの明るい大口径単焦点レンズ(私の場合はサンニッパやヨンニッパを指す)と、もっと暗いズームレンズを使うのとでは、前者の方が合焦速度も速く、追従性も良いのは、1D3も7Dも同じだが、後者のレンズを使った場合の差(合焦速度および追従性の悪化度)が、7Dの方が大きいように思える。1D3の方は、レンズ性能に足を引っ張られても、何とかジャスピンを得続けようとする馬力の強さを感じるが、7Dにはそれを感じられない。
光量が乏しくなるほど、センサーに導かれる光も少なくなるので、AF性能の低下を招くのは、どの機種でも同じだと思うが、それでも1D3はかなり頑張ってくれる。7Dでは1D3比べ明らかに、速度と精度の低下が感じられる。周辺部のAFフレームを使った夕暮れの撮影で、1D3では何とか合焦できても、7Dでは迷って合焦できない場合があった。また先日、雨上がりの人工芝グランドでサッカーを撮ったが、光量自体が豊富でも、照り返しの光などが有って、難しい光線状況の場合、7Dではどうもルーズな合焦になることが多かった。1D3でもフレアーっぽい画像を量産してくれたが、ピント自体はしっかり来ていたことを考えると、やっぱりこの点でも差を感じる。
以上はあくまで、私がサッカーという動体撮影で、1D3と比べた場合の印象であって、クラスも価格も違う両機を比べること自体、無理があるのかもしれない。むしろ、1D3の半分以下の価格で、ここまで肉薄できたということは、7Dのコストパフォーマンスはかなり高いと見ることもできると思う。また静物撮影では、この差はもっと縮まるかもしれない。
前回、キヤノンの方と電話で話す機会を得たと報告したが、話の中でその方は、1D3と7DのAF性能差をはっきり認めた上で、その要因の一つに、1D系のみが採用している楕円サブミラーのことを挙げていた。詳しい技術的なことは、私には分からないのだが、レンズを通して得た光束を、測距センサーに導くサブミラーに、1D系は楕円ミラーを、その他の機種は平面ミラーを使用している、というのである。この差が、センサーに届く光の質を左右し、元々のセンサー自体の差もあって、1D3と7DとのAF性能差を生んでいる、らしい。1D系は中央1点なら開放F値がF8でもAFできるのに対して、その他の機種ではできないのは、何もセンサー自体の性能ばかりではなく、そのセンサーまで導く道筋の性能差もあってのこと、ということだ。そしてこれらの部分は、コストに反映する所でもあり、現在の1D3と7Dとの価格差の一因にもなっているらしい。
総じてAF性能に関しては、7Dは最新のデジタル技術を使って1D3に肉薄するところまで来たが、2年以上前の機種とはいえ、基本的にコストがかけられ、高価な部材を使って組み上げられた1D3に対してでは、撮影状況の変化に対する対応力が弱く、比較してみると1D3の骨太な性能を引き立たせる結果になってしまった、と言えなくもない。ただ両機の価格差を考慮すると、どうだろう。またAF性能だけが、そのカメラの価値を決めるものでもない。1D3との比較結果が、必ずしも7Dの存在価値をおとしめるものではない、と私は思うのだが。
ファーストインプレ7-1.jpg

上の作例
7D+EF400mm F2.8 L IS  焦点距離   400mm  シャッター速度優先  任意1点指定
F3.5   SS 1/1000   ISO 400   評価測光   露出補正 ±0   AI SERVO AFⅡ  RAW
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