SSブログ

少年サッカーの撮影 その16 [少年サッカーの撮影]

スポーツカメラマンがよく使うという「親指AF」についての私見を、何回かに分けて書いていこうと思う。ただし、ここは「少年サッカーの撮影」カテゴリーであるので、サッカー撮影における、という前提は外せない。他の被写体や状況では、また違った結論になることを、前もって記しておきたい。

少年サッカー16-1.jpg

まず最初にはっきり言っておきたいことは、AF性能とはカメラとレンズの組み合わせのトータル性能であって、親指AFにしたところで、AF性能が上がるわけではない、ということ。プロやベテランカメラマンが親指AFを使っているからといって、それを採用してもピント精度が上がる訳でも、速度が速くなる訳でも、チャンスに強くなる訳でもない。この点を誤解している人が多いので、まずは理解していただきたい。
通常デフォルト設定では、シャッターボタンの半押しでAF駆動・AE測光、全押しで撮影、となっている。このAF駆動の機能を切り離し、背面のAEロックボタンや専用のAFボタンでのみAF駆動にする設定が「親指AF」で、一般的に親指でAFのON/OFFを切り替えるので、そう呼ばれている。そしてそのメリットは、シャッターを切るという動作と、AF駆動するという動作を、2つのボタンに割り振ることによって得られる。通常の設定では、シャッターを切るためには必ず半押し状態を通過しなければならず、AF駆動しなければシャッターは切れない。しかし親指AFでは、AF駆動せずにシャッターを切ることができる。そのメリットとは何だろう(あくまでサッカー撮影において)。

少年サッカー16-2.jpg

一番のメリットは、置きピンのし易さだろう。動体撮影であるサッカー撮影において、通常はAI SERVO AFを使用する。これはAF駆動中ずっと測距を続けるモードだ。ピントを1点に固定し、タイミングを見計らって撮る、という置きピン撮影では、常に測距を続けてくれるこのモードは使えない。通常設定でそれをするためには、ONE SHOT AFに切り替えるか、MF(マニュアルフォーカス)に切り替えるかしなければならず、手間が掛かり、連続するプレイのサッカー撮影では現実的ではない。それが親指AFでは、親指を離すことで簡単にAF駆動を切り、直前のピント固定状態に持ち込める。後は人差し指でシャッターを切るだけだ。

少年サッカー16-3.jpg

二番目に考えられるメリットは、ピント固定のまま構図変更した画を複数枚撮る際だ。構図を変えるということは、AFフレームが測距した部分が変わるということであり、AF駆動し続けてしまうと、ピントはその都度変化してしまう。例えば、中央AFフレームで狙う被写体にピントを合わせたとして、この被写体を右端に置いた画を撮ろうとすれば、AFフレームの指定を右端のものに切り替えるしかなく、これも瞬時とはいかず、サッカー撮影で現実的ではない。それに対して親指AFは、親指を離すことでAFロック状態に瞬時に切り替えられるので、そのままレンズを振って被写体を右隅に持ってきても、ピントの移動は無く撮れる。

少年サッカー16-4.jpg

三番目のメリットは、フルタイムマニュアルフォーカス対応のレンズを使った場合だが、AI SERVO AFからMFへの切り替えが素早くできる、ということ。通常、AF⇔MFの切り替えは、レンズ横の小さなボタンで行い、これもまた瞬時の切り替えは難しい。親指AFなら、親指を離すことでフォーカスロック状態に瞬時に持ち込め、そこでピントが得られていないと判断した場合は、すぐにMFで調整できる。これが通常の設定でAI SERVO AFだと、AF駆動しないとシャッターが切れないので、MFの微調整は事実上不可能だ。

少年サッカー16-5.jpg


1枚目:CANON 1D MarkⅡ+EF400mm F2.8 LⅡ
2枚目:CANON 1D MarkⅡ+EF400mm F5.6 L
3枚目:CANON 1D MarkⅡ+EF400mm F2.8 L Ⅱ
4枚目:CANON 1D MarkⅡ+EF400mm F2.8 LⅡ+EF1.4xEXTENDERⅡ
5枚目:CANON 1D MarkⅡ+EF400mm F2.8 LⅡ

nice!(0)  コメント(5) 
共通テーマ:趣味・カルチャー